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以前、松本人志さんが『大日本人』を監督した際に「映画監督が難しいのは、ほかの人も多分そうだと思うんですけど、「これだ」というのは実はないんですよ。けど、「これはあかん」というのは絶対にあるんです。だから大変なんですよ。」というような話をしたことがあります。教師の世界も実は同じで、「絶対これでないといけない。」という方法はありません。「これはしてはいけない。」という原理原則はありますが、あとは目の前の子どもたち、自分の力量、個性によっていろいろな方法を使い分けていかなければいけないのです。
そうです。どんな方法を使ってもいいのですが、もちろんそれは「目的に合った方法を使ってください」という意味においてです。「ひざが痛い」ときには、普通、ひざの痛みを抑えるための薬を飲みます。決して風邪薬を飲んだりしませんよね。「本当の理由」というのは、有効な“しかけ”の裏にあるねらいや隠された効果のことを言います。「本当の理由」が分かっていないと、この前風邪によく効いたからといって、ひざが痛いのに風邪薬を飲んでしまうのと同じようなことを、教育の現場でやってしまう恐れがあるということなんです。
例えば、私の授業スタイルの核となるのは「机間巡指」なのですが、それでも、いつ、どんな時にでも「机間巡指」を行っているわけではありません。計算練習のような作業時間がそれぞれの子によって違ってくるような場合、できた子から教師のところにノートを持ってこさせるという方法もとります。子ども自身が見てもらいたいタイミングでノートを見てもらえるという利点は、机間巡指にはないからです。いつもの自分のスタイルと違う方法を使っているのは、この学習活動では「できるだけ空白の時間を作らない」という「本当の理由」があるわけです。
裏話的なことを言うと、もともとこの本は、3章に書かれているようなしかけやネタを書いてください…という依頼だったのです。それが執筆している間に、このような形になりました。最初に依頼されたものとはだいぶ変わってしまったのですが、私のわがままを聞いてくださり、本当に感謝しています。あっ、実践のアイデアですね。今回紹介したものは、ライブやテレビから学んだものが多いです。教師自身が楽しんだことが実践につながっていくという感じです。
ここ2・3年、私がこだわっているテーマとして、「無意識の意識化」というものがあります。無意識に行っていることを意識することによって学級づくり、授業づくりが変わってきます。今回の「本当の理由」で、私がこれまで「意識して行っていたこと」を整理し、これまで「無意識で行っていたこと」を「意識化」することができました。ぜひ、手に取ってください。若い先生方からベテランの先生方までいろいろな気づきがあると思います。4月1日から消費税が8%になってしまいますがよろしくお願いします。