著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
これからの授業づくり・学級づくりを支える教室環境を、「教室レイアウト」「座席配置」「教室掲示と学習ツール」の3視点で考える
北海道河東郡上士幌町立上士幌中学校教諭石川 晋
2014/3/10 掲載
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  • 教師力・仕事術
 今回は石川 晋先生に、「THE 教師力」シリーズの最新刊として発刊された『THE 教室環境』について伺いました。

石川 晋いしかわ しん

北海道河東郡上士幌町立上士幌中学校教諭。1967年生まれ(北海道旭川市出身)、1989年北海道教育大学旭川校卒業。2003年同修士課程修了。2009年河東郡上士幌町立上士幌中学校赴任。「NPO授業づくりネットワーク」理事長。
主な著書に、『THE 校内研修』『音楽が苦手な先生にもできる!学級担任の合唱コンクール指導』『石川 晋―エピソードで語る教師力の極意』『学び合うクラスをつくる!「教室読み聞かせ」読書活動アイデア38』『「対話」がクラスにあふれる!国語授業・言語活動アイデア42』(明治図書)、『学級通信を出しつづけるための10のコツと50のネタ』(学事出版)、『中学校学級担任のためのポジティブコミュニケーションカード』(民衆社)、『中学校国語科学習ゲーム〜授業づくりの活性化につながる体験的な学び〜(DVD)』(ジャパンライム)、明日の教室DVDシリーズ第14弾「文学の授業〜読む・解く・書く〜」(Kaya)などがある。
ブログ:すぽんじのこころ 

―今回の書籍は、『THE 教師力』シリーズの1冊として、テーマは「教室環境」です。「学校設営」でもなく、「教室掲示」でもなく、「教室環境」。このテーマを設定された“ねらい”について、教えて下さい。

 従来の枠組みからもう少し広く、多様なアプローチの実践を集めてみたいという願いが強かったからです。
 そのもくろみは成功したのでは、と思っています。

―先生は教室環境のポイントを、「教室レイアウト」「座席配置」「教室掲示と学習ツール」の3つであると述べられています。本書でも詳しく紹介されていますが、この点について教えて下さい。

 「教室レイアウト」と「座席配置」の問題は、相互に関連し合っています。たとえば「スクール形式」の座席配置はone of themに過ぎないと考えています。どのような座席配置を基本とするかで、教室レイアウトは大きく変わってくるはずです。「教室掲示と学習ツール」には、従来から細やかに配慮されてきたように思います。それを、教室環境という視点から捉え直してみると、ICTなどの新たなツールの活用などについても、空間的な視点から捉え直せるのでは、と考えます。

―先生方からは、「「毎日の教材研究などに追われて、教室掲示までは…」という声もうかがうことがあります。取り組むきっかけを探されている先生もいらっしゃるようにも思います。まず取り組んでみよう、という時におすすめの取組はありますでしょうか?

 教室掲示の工夫は、子どもたちが教室を自分の居場所として考え、安心して暮らせるようになる重要なポイントだと思います。教室を子どもたちが生活する空間と考えれば「衣食住」に相当するものといえるでしょう。教材研究は大切ですが、それよりもまず、身支度をしっかりした方がいいんじゃないでしょうか(笑)。

―本書では、全国の若手から中堅、ベテランの先生まで、幅広く豊富な取り組みが、「教室環境」の実際が見える豊富な写真とともに紹介されています。この構成のねらいについて教えて下さい。

 特別支援学校には小中高等学校の教師が学べる工夫がたくさんあります。優秀なお二人の先生に執筆いただけて、ぼくも学ぶべき点が多々ありました。
 執筆者については、年齢構成以上に、校種、全国各地ということに気を配りました。ぼくは全国を回って講座・講演活動をすることが多いのですが、学校は土地土地の風土と結びついているものなんだなあと実感しています。校種の多様性も含めて、多様な学びの視点の大切さは、読んでいただけるとお分かりいただけるかと思います。

―最後に、読者の先生方へメッセージをお願い致します。

 職員室の写真と教室の写真を研修会などで参加者に見せて、比較してもらうことがあります。話し合い活動の機能性を重視する職員室の座席配置と比べた教室の落差に驚きます。
 職員室と教室はチームづくりという観点で言えば、何も変わらないように思えます。子どもたちの学びやすさに寄りそった学びの空間づくりを、それぞれの現場で考えていくためにお役にたてるとうれしいです。

(構成:及川)

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