- まえがき
- 序 章 合唱コンクール指導,どんな困難を感じていますか?
- 1 合唱コンクールという不思議な行事
- 2 多くの教師が合唱コンクール指導で悩んでいること
- 3 合唱コンクール指導のポイントと本書の構成
- 4 合唱コンクールの今日的な指導課題
- 第1章 事前指導〜事後指導まで 指導の流れポイント4
- 1 準備期間を大切にする
- 2 練習期間の指導のスケジュールを共有する
- 3 直前と当日の指導を大切にする
- 4 事後指導(振り返り)を丁寧に行う
- 第2章 合唱コンクールの成功を決める 指導ポイント6
- 1 音楽教師との連携を密にしよう
- 2 自分たちで練習できることを目指そう
- 3 練習時間の基本的な流れをつくろう
- 4 指揮者・ピアニストのよさや工夫を共有しよう
- 5 パートリーダーとはたくさん話し合おう
- 6 教師による指導のポイントは事前に決めておこう
- 第3章 音楽が苦手な先生にもできる 合唱コンクール指導のポイント65
- 1 事前準備段階で行うこと
- 1 指揮者やピアニスト,パートリーダーに挑戦することの価値を伝える
- 2 自由曲選定の方針を決める
- 3 音楽科教師と担任との役割分担を子どもたちにも知らせる
- 4 関連する書籍を教室に置く
- 5 当日までの練習の見通しを共有する
- 6 音楽記号や楽譜の基本的な見方を確認する
- 7 事前に音源を配付する
- 8 楽曲の知識を仕入れる
- 9 審査方法と審査の観点を共有する
- 10 昨年のコンクールのビデオ鑑賞をする
- 11 目指す歌声のイメージを共有する
- 12 楽譜へのメモの取り方を徹底する
- 13 教室用のキーボードを準備する
- 14 歌声を届ける相手を決める
- 2 実際の練習で取り組むこと
- @ 心構えと雰囲気づくり
- 15 音楽の授業を見に行く
- 16 先生も一緒に歌う
- 17 学級通信で練習の様子を発信する
- 18 歌詞の音読をする
- 19 学級掲示と連動する
- 20 楽曲の詩の解釈を国語の先生に依頼する
- 21 練習場所のバリエーションを考える
- 22 ピアニスト,指揮者へのリスペクトを徹底する
- 23 他のクラスの練習の様子を見に行く
- A 歌唱指導のコツ
- 24 音取りを徹底する
- 25 譜読みはシナリオ読みに似ている(前奏指導から入る)
- 26 ブレスが重要である
- 27 歌いだしと歌い終わりを大切にする
- 28 発声練習はバランスよく行う
- 29 カデンツ(和音の進行形)などを使って,響きをそろえる
- 30 音程の悪い生徒が居心地のよい空間をつくる
- 31 鼻濁音指導を丁寧に行う
- 32 声量指導は自分の声量の幅を意識することから始める
- 33 口形指導とハミング指導,スタッカート指導はつなげて行う
- 34 テンポの設定にこだわる
- 35 演劇的練習方法を取り入れる
- 36 相互評価を取り入れる
- 37 各パートの全体における役割を認識する
- 38 パート練習のシステムをつくる
- 39 曲づくりのコツを知る
- B 教師による指導の工夫
- 40 毎回録音録画する
- 41 拍打ちをする
- 42 「たとえ」でイメージをふくらませる
- 43 客席を見て歌う
- 44 課題曲の合同練習をする
- 45 校内の先生方を練習に招待する
- C 課題の共有
- 46 振り返りジャーナルやクラス会議を活用する
- 47 パートリーダーミーティングを毎日実施する
- 48 話し合いは可視化する
- 3 本番前数日及び当日に工夫すること
- 49 互いの歌声を拍手で褒め合う
- 50 ステージ上で客席に届く自分の声を探す
- 51 聴いてほしい人への招待状を書く
- 52 結果を聞いた時の喜び方練習をする
- 53 2日前にほんの少しテンポを上げる
- 54 朝練習は当日の朝だけにする
- 55 本番前に指揮者,ピアニストと話をする
- 4 終了後の指導のこと
- 56 賞状や盾の保管方法を工夫する
- 57 振り返り作文交流をする
- 58 解散式をする
- 59 自由曲をクラスの曲として大切にする
- 60 保護者の感想をシェアする
- 61 卒業式に万感の思いを込めて歌う
- 5 さらに詳しく知りたい人のための文献紹介
- 62 合唱コンクールを動かしていくシステムを学びたい人のために
- 63 発声法を勉強したい人のために
- 64 合唱指導をもっと勉強したい人のために
- 65 音楽教育専門雑誌やメールマガジンを活用しよう
- 終 章 合唱コンクールは曲がり角に来ている
- 1 合唱コンクール定着の歴史を振り返る
- 2 合唱表現自体が時代遅れになりつつある
- 3 子どもたちの意識や学校規模の変化を無視できない
- 4 合唱コンクールに割ける時間が足りない
- 5 合唱コンクールに代わるものはないのか
- あとがき
まえがき
「合唱コンクール指導の苦手な先生は,苦手教科を前にした生徒のような風情がありますね」と,いつか研修会の講座の席上でお話させていただいたことがあります。残念ながら合唱コンクールは定番行事であり,苦手教科を別な教科の頑張りで埋め合わせるといったようにはできないところがつらいところです。
本書では,合唱コンクール指導の苦手な先生が,子どもたちと一緒にコンクールに取り組んでいくための道筋を示そうと思います。
さて,苦手教科克服のために,子どもたちにはどんなことを話しますか?
教科の目的や学習の全体像・特徴を説明すること,自分のペースや資質にあった学び方を探すように促すこと,おもしろく学べる工夫を紹介すること,予習復習の仕方,確実に覚えなければならないことの確認,細かなミスの防ぎ方,みんなで学び合ったり高め合ったりすることの勧め,繰り返し練習することの効用…いろいろなことが考えられるでしょうか。もちろん本人の克服に向けた意欲が必要です。残念ながらすぐに改善するというわけにはいきません。でも継続して準備することで,確実に改善していきます。
合唱コンクール指導が苦手な先生のことも,同じように考えられるでしょう。何よりもまず,生徒たちのために一所懸命準備しようと考える先生には,きっと本書は大きく役に立つだろうと確信しています。
ちなみにぼくは音楽を専門的に学んだ教師ではありません。本職は国語教師です。ですから,この本を手に取る多くの先生と同様,合唱指導は専門外です。みなさんと苦しさを共有できます(笑)。一方で,高校時代から現在まで合唱愛好者としていくつもの合唱団を渡り歩いてきました。素人なりのたくさんの経験を,歌い手として,また一部指導者としても積んでいます。
日本じゅうの教室で合唱コンクール指導が苦手で立ちつくしている担任教師に,一人の仲間として,できる限りのアドバイスをしたいと考えています。
/石川 晋
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- 明治図書
- 本書を読むことで、合唱コンクールの指導計画を立てやすくなりました。2021/5/1640代・中学校教員
- 合唱コンクールでの指導法や、クラスの雰囲気づくりのノウハウがわかりやすく、かつ詳しく書かれており、丁寧だった。2016/1/2520代・中学校社会科教諭