著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
授業づくりが革命的に変わる!国語科授業づくり100の言語技術
北海道札幌市立札幌中学校教諭堀 裕嗣
2016/3/3 掲載
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 今回は堀 裕嗣先生に、新刊『国語科授業づくり10の原理・100の言語技術 義務教育で培う国語学力』について伺いました。

堀 裕嗣ほり ひろつぐ

1966年北海道湧別町生。北海道教育大学札幌校・岩見沢校修士課程国語教育専修修了。1991年札幌市中学校教員として採用。学生時代,森田茂之氏に師事し文学教育に傾倒。1991年「実践研究水輪」入会。1992年「研究集団ことのは」設立。
著書に、『よくわかる学校現場の教育原理 教師生活を生き抜く10講』『教師が20代で身につけたい24のこと』『教師が30代で身につけたい24のこと』『教師が40代で身につけたい24のこと』『国語科授業づくり入門』『スペシャリスト直伝! 教師力アップ成功の極意』『必ず成功する「学級開き」魔法の90日間システム』『必ず成功する「学校行事」魔法の30日間システム』『教師力ピラミッド 毎日の仕事を劇的に変える40の鉄則』『堀 裕嗣―エピソードで語る教師力の極意』(以上、明治図書)などがある。

―本書は義務教育で培いたい言語技術の体系をまとめた画期的な1冊となっています。本書のねらいと読み方について教えて下さい。

 僕の本としては珍しく、「読んで欲しい」というよりは「使って欲しい」という1冊です。国語の授業を苦手としている先生方の多くは国語科の指導事項が曖昧だと感じています。新しい教材の授業に入ると言っても、何を教えていいのかわからない、どう扱って良いのかわからない、そんな現実があります。
 本書は義務教育の国語科で培いたい国語学力のうち、言語技術的な指導事項を100集めたものです。一つ一つについて、その定義、具体的な指導の勘所、指導における留意点をまとめています。そういった本は国語科指導辞典のような形でこれまでにもたくさん刊行されてきたわけですが、現場の実践者として僕のフィルターにかけて、本当に必要と思われるものだけに絞り込んだというところに特徴があります。これを整理するのに20年かかりました。その意味で、著者である僕自身、今回の刊行には感慨深いものがあります。

―本書の第1章「国語科授業づくり10の原理」では、「言語技術」と「言語感覚」という二つの学力を分けて考えることが大切である、と述べられています。本書でも詳しく紹介されていますが、この点について教えて下さい。

 国語科の指導事項には二種類あります。一つは技術を教えて使えるようにするというタイプの学力、もう一つは何度も何度も学習活動を繰り返すことによって感覚的に身につけていくというタイプの学力です。技術としてわかっていれば使えるというタイプの学力と、わかっても使えない、感覚として身につけなければならない学力と言っても良いでしょう。僕は前者を「言語技術」、後者を「言語感覚」と呼んでいます。
 「言語技術教育」は子どもたちが言語に関する技術を意識的に使うことによって確かで豊かに表現したり理解したりすることを目指す教育、「言語感覚教育」は子どもたちが何度も何度も言語活動を繰り返すことによって無意識的に感覚的に身につけていくことを目指す教育と言えます。

―先生は本書の中で言語技術には「言語知識→言語技術→言語技能」という習熟三段階があり、授業を行う上でこれを意識しておくことには、大きな効果があると述べられています。その効果について教えて下さい。

 いわゆる「言語技術」には、そのような言語を効果的に用いるための技術があるという段階(=言語知識の段階)、その言語に関する技術を意識的に使って練習する段階(=言語技術の段階)、その言語に関する技術にほぼ完全に習熟して意識しなくても使えるようになっている段階(=言語技能の段階)という「習熟三段階」があります。「言語技術」は理解してナンボのものではなく、使えてナンボのものですから、子どもたちに定着させてこそ意味があります。しかし、この定着がなかなか難しい。
 一度指導して事足れりとするのではなく、しつこくしつこく指導し続け、できるだけ「言語技能の段階」に子どもたちを近づけていくという構えが教師に必要になります。そのために、この「習熟三段階」はとても有効です。

―次期指導要領のキーワードの一つとして「アクティブ・ラーニング」が挙げられています。先生は本書の「ワークショップ型授業」の有効性を述べられる中で、「アクティブ・ラーニング」を活動概念ではなく「機能概念」としてとらえることを挙げられていますが、国語科授業づくりにおけるアクティブ・ラーニングについてどのようにお考えでしょうか。

 国語科においては現象的に子どもたちをアクティブな状態にすることはそれほど難しいことではありません。答えのない、それでいて当事者意識を持てるような課題を設定すれば、現象的には活発な議論や交流が行われるからです。しかし、その活発な議論や交流が現象的な活発さに堕してしまっていて、なかなか子どもたちの学びにつながっていないという指摘が古くからなされてきました。アクティブ・ラーニングは活動としてのアクティブを求めるのではなく、ちゃんとしっかりと機能させる、つまりは頭の中をこそアクティブにして学びを保障するということが大切です。そういった意味で、アクティブ・ラーニングを「活動概念」ではなく、「機能概念」であるという言い方をしています。

―最後に、読者の先生方へメッセージをお願い致します。

 この本は国語科の授業づくりが苦手だという方から得意だという方まで、どんな先生にも役立つようにと編集しました。「国語科授業づくりの10の原理」だけでなく、「話すこと」「聞くこと」「書くこと」「読むこと(説明的文章)」「読むこと(文学的文章)」のそれぞれについて20ずつの言語技術に整理し、合計100の言語技術を取り上げています。まずまず義務教育で培うべき言語技術について網羅したのではないかと自負しています。
 みなさんに本書を使ってもらい、全国の国語教室が少しでも確かで豊かなものになれば……と願っています。

(構成:及川)

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