学校を元気にするチームリーダーの仕事術
現役スーパー校長が伝授する、チームリーダーの仕事術。教職員のパフォーマンス、チーム力を向上させるのはあなただ!
学校を元気にするチームリーダーの仕事術(10)
日常から離れ、みんなでバカになる!?
愛知県小牧市立小牧中学校長玉置 崇
2015/3/25 掲載
  • チームリーダーの仕事術
  • 学校経営

1 飲み会に参加しない理由

 言葉はその時代に合わせて変化するというが、「飲(の)みニケーション」という言葉もその1つだ。かつては頻繁に使われていたが、勤務後の時間をある意味拘束することを避けるようになり、ほとんど耳にしなくなった。
 また、最近よく耳にするボヤキが、「会を設けても参加者が少ない。かつては学校全体や学年で旅行も企画できたのに、みんなと交わろうとする若者が特に少ない」というものだ。多くの都道府県では、職場に中間層が少なく、ベテランと若い教師で構成されている場合が多い。若い教師の立場に立てば、職場を離れてまで、ベテランとともにいるのはかなわないという思いにも一理ある。立場を変えて考えてみると、その気持ちがわかるわけだ。

2 若い教師に企画してもらう

 しかし、だれもが自覚していると思うが、職場を離れた場でのコミュニケーションでは、心の開放も手伝って、いわゆる本音が出る。したがって、リーダーであれば、ときには懇親会や飲み会をセッティングしたい。
 参加しにくいと感じている人への配慮もしたうえで、全員が参加でき、満足する懇親会や飲み会をすることはできないものだろうか。日ごろ苦労しているのに、ここまで気を遣うのか…と思うリーダーもいるだろう。こういうときこそ、適材適所だ。何も自分が企画する必要はない。若い教師に企画をしてもらえばよい。
 新任から3年間勤めた学校は、一番若い教師が学校の懇親会運営者の1人になるというルールがあった。私は3年間にわたって懇親会を企画し、飲み会では司会まで仰せつかった。今思うと、大学生気分で企画していたが、それがかえってよかったように思う。懇親会の余興で、校長に寸劇に出てもらったり、いわゆるおばちゃん先生に、嫌がられながらもその当時のアイドルのものまねをやっていただいたりした。もちろん大ウケだ。懇親会後も話題となることがあり、職員室には笑いが再び起こっていた。
 「日常から離れ、みんなでバカになる」というキャッチフレーズをつくり、行きのバスから大盛り上がりしたこともあった。数十年経っても、そのときの光景が目に浮かぶのだから、相当なインパクトがあったわけだ。
 

3 全員が楽しめる企画

 このような大がかりなことではなく、ちょっとした工夫で全員が楽しめる企画はある。
 例えば、学年のだれかが研究授業を終えたときなどには、ご苦労さん会を兼ねて、勤務時間後、学校で各種ケーキなどを人数分買ってきて、ミニパーティを開いたらどうだろうか。わざわざすべて違うケーキを買ってくるのが、盛り上げのコツだ。ケーキを前にして、選ぶ順番から決めればいい。他愛もないことだからこそおもしろい。研究授業を終えた同僚に敬意を表して、優先して選んでもらうことがほとんどだろうが、その後の順番決めに日ごろのかかわり方が反映されて興味深い。リーダーもこうした雰囲気を楽しめばよい。あるケーキを選ぶと、特別プレゼントがもらえるという仕込みをしておいてもいいだろう。
 ときにはプレゼント交換をしても楽しい。我が校では、各自で千円程度の品物を買って、持ち寄るという企画が恒例となっている。そして、くじによってプレゼントを選ぶ順番を決め、ずらりと並んでいるプレゼントを、触ることなく見て選ぶという演出だ。プレゼントを選ぶ楽しみ、開けてみる楽しみ、それを見ての一言コメントを聞く楽しみがある。何事もアイデア次第だ。

例

今回のPoint!

若い教師に主導してもらったり、他愛もないことをしたりして、だれもが満足できる懇親会にする。

玉置 崇たまおき たかし

1956年生まれ。愛知教育大学数学科卒業。
公立小中学校教諭,愛知教育大学附属名古屋中学校教官、教頭、校長、愛知県教育委員会指導主事、教育事務所長等を経て、現在、小牧市立小牧中学校長。
ICTを活用した数学授業や学校経営において実績があり、文部科学省発行の「教育の情報化に関する手引」を執筆。また文部科学省「学校教育の情報化に関する懇談会」委員、「中央教育審議会」専門委員歴任。
主な著者に、『スペシャリスト直伝!中学校数学科授業成功の極意』(明治図書)、『中学校学級担任必携 生徒指導要録作成の手引き&総合所見の文例1080』(明治図書)『玉置流・学校が元気になるICT活用術』(プラネクサス)ほか。

(構成:矢口)
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