学校を元気にするチームリーダーの仕事術
現役スーパー校長が伝授する、チームリーダーの仕事術。教職員のパフォーマンス、チーム力を向上させるのはあなただ!
学校を元気にするチームリーダーの仕事術(9)
学校ホームページの記事づくりを、教職員評価に利用する!?
愛知県小牧市立小牧中学校長玉置 崇
2015/2/25 掲載
  • チームリーダーの仕事術
  • 学校経営

1 「いいとこ見つけ」の機会をつくる

 教職員評価制度には様々なスタイルがあると思うが、同じような制度はどこの地域においても実施されているだろう。評価をする管理職の立場からすると、評価をするのに伴う教職員とのコミュニケーションが、学校運営上とても役立つことを実感している。
 コミュニケーションを図るには、相手を知ることが大切だ。しかも、その相手は大人である。取り繕うような話では、真のコミュニケーションはできない。だからこそ、相手についての、確かな事実に基づいたそれなりの情報がいる。事実を集めるには、意図的な行動が必要だ。
 そこで私は、学校ホームページの記事づくりとコミュニケーションを連動させている。時間があればカメラを持って、できるだけ教室に足を運ぶ。学校ホームページの掲載写真を得るためだ。写真を撮るときは、生徒の「いいとこ見つけ」を基本としている。4人で学び合っている姿や資料を丹念に調べている姿、クラスメイトの発言に耳を傾けている姿、黒板の前で堂々と発表している姿などを撮影し、その写真にコメントをつけて発信するのだ。
 また、教師の「いいとこ見つけ」も並行して行っている。生徒を包み込むような笑顔で話している教師、生徒がハッとするような資料を提示する教師、発言を上手につなぎ豊かな話し合いを構築していく教師、きりっとした空気を教室に醸成している教師など、教師のよさをとらえて、保護者にもわかりやすく伝えている。その際、本人には記事にしたということを一言伝えている。これが前述の学校ホームページの記事づくりとコミュニケーションを連動させている具体例だ。
 実は、同時に評価も行っている。「先生、あの場面はとてもよかったですね。コメントを添えて記事にしておきましたよ」という言葉かけは、まさにその教師の授業評価である。

例

2 個別の議論が、相手への理解を深める

 研究主任であれば、研究の方向性を確かにするために、教員と個々のコミュニケーションをとることが大切だ。
 かつて研究主任の立場にあったとき、総論を書いて会議で提案したことがあった。その会議の中では十分な話し合いができなかったこともあって、一人ひとりとコミュニケーションをとった。
 すると、総論は賛成だが、自分の教科の立場で考えると、提案をすべて受け入れるわけにはいかないという。個別に論議を重ねていくと、相手の考えに自分の理解が及んでいなかったことがよくわかり、話し合う中で随分と相手に同意をしたものだ。いわば、相手を評価したことになる。おかげで総論と各教科論の距離は縮まり、方向性が定まった。
 

3 次のリーダー候補をつくる

 人事にかかわることであれば、まさに適切な評価をして、次のステージを用意することが肝要である。そのために、教育委員会が適切に判断できる材料をしっかり用意ることが、校長の務めである。「とてもよい人です。一生懸命やっています」では、当然ながら次のステージへの説得材料にならない。そのためには、日ごろからよく観察し、会話を重ねて、考えなども把握しておくことが必要だ。
次のリーダー候補をつくることができていないのは、自分がリーダーとして十分な働きをしていないからだと自覚すべきである。

今回のPoint!

ホームページの記事づくりを利用するなどして、意識的にコミュニケーションをとることが、適切な評価につながる。

玉置 崇たまおき たかし

1956年生まれ。愛知教育大学数学科卒業。
公立小中学校教諭,愛知教育大学附属名古屋中学校教官、教頭、校長、愛知県教育委員会指導主事、教育事務所長等を経て、現在、小牧市立小牧中学校長。
ICTを活用した数学授業や学校経営において実績があり、文部科学省発行の「教育の情報化に関する手引」を執筆。また文部科学省「学校教育の情報化に関する懇談会」委員、「中央教育審議会」専門委員歴任。
主な著者に、『スペシャリスト直伝!中学校数学科授業成功の極意』(明治図書)、『中学校学級担任必携 生徒指導要録作成の手引き&総合所見の文例1080』(明治図書)『玉置流・学校が元気になるICT活用術』(プラネクサス)ほか。

(構成:矢口)

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