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新学習指導要領 特別の教科 道徳の注目ポイント
教育zine編集部茅野
2017/4/7 掲載
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  • 学習指導要領・教育課程

 新しい学習指導要領が公開されました。
 今回の記事では、特別の教科 道徳の主な変更点を中心に見ていきます。

 道徳は、平成27年3月27日に告示された、一部改正学習指導要領で「特別の教科である道徳」になることが決まりました。すでに平成27年4月1日から移行措置が始まっており、一部または全部を実施することができるようになっています。
 なお、平成29年3月31日に公示された新しい学習指導要領では、道徳は平成27年3月27日に告示された、一部改正学習指導要領とほぼ違いはありませんでした。
 では、道徳が「教科」になることで何が変わるのでしょうか。

新教科書での授業開始
 一つ目の大きな変更点は、検定教科書ができることと言えそうです。
 今まで道徳には検定教科書がありませんでした。そのため、多くの道徳授業は文部科学省発行の『私たちの道徳』や各社副読本を用いて行われていました。しかしながら、今後は教科書を中心として授業が展開されていくことが予想されます。
 なお、新教科書での授業は、小学校では平成30年、中学校では平成31年から、順次行われることになっています。

「読む道徳」から「考え、議論する道徳」への転換
 二つ目の大きな変更点は、「読む道徳」から「考え、議論する道徳」への転換と言えそうです。
 平成27年7月に出された『小学校学習指導要領解説 特別の教科 道徳編』には、

 発達の段階に応じ、答えが一つではない道徳的な課題を一人一人の児童が自分自身の問題と捉え、向き合う「考える道徳」、「議論する道徳」へと転換を図るものである。

 と、道徳授業の在り方を転換する方針が明示されました。
 これは、今まで単に「読み物」を読ませたり、テレビを見せたりするだけの道徳授業が行われている実態があったという批判に応えたものだと言えそうです。今後は、多様で効果的な指導方法への改善が求められていきます。

 多様な指導方法の例としては、新学習指導要領の「第3 指導計画の作成と内容の取扱い(5)」の中で、「問題解決的な学習」「道徳的行為に関する体験的な学習等」が新たに示されました。これも、注目すべき変更点と言えそうです。

児童の発達の段階や特性等を考慮し、指導のねらいに即して、問題解決的な学習、道徳的行為に関する体験的な学習等を適切に取り入れるなど、指導方法を工夫すること。その際、それらの活動を通じて学んだ内容の意義などについて考えることができるようにすること。また、特別活動等における多様な実践活動や体験活動も道徳科の授業に生かすようにすること。

評価への取り組みがより一層必要に
 三つ目の大きな変更点は、評価と言えそうです。
 平成20年版の学習指導要領でも、評価についての記述はありましたが、教科化とともに評価を充実することが求められました。

 評価というと、数値評価や成績を付けることをイメージしがちですが、道徳教育における評価はこれらとは異なります。
 ・数値による評価ではなく、記述式であること
 ・相対評価ではなく、個人内評価であること
 といった視点が示されています。

 いよいよ完全実施まであと1年と迫りました。どんな新教科書が配布され、どのような道徳授業が展開されていくのでしょうか。ますます注目されます。

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