きょういくじん会議
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子どもの手本になるために! 地域密着を目指すJクラブ!
kyoikujin
2009/12/1 掲載
川崎フロンターレ 2008 [DVD]

 今シーズンも残すところ5日の最終節のみと、シーズン佳境に入ったJリーグですが、首位の鹿島アントラーズを勝ち点差2で追いかけ、優勝の可能性を残す川崎フロンターレが、読売新聞の11月26日の記事で紹介されていました。以前のきょういくじん会議でも紹介されていましたが、川崎市立丸子小と共同で作った「川崎フロンターレ算数ドリル」の下巻が配布されたとのこと。また、10月には実際に選手が算数の授業に参加したとのことで、子どもたちも非常に喜んでいたようです。

 小学校6年生用のこのドリルは、3月発行の上巻と合わせて80ページ以上とボリュームたっぷり。選手の写真なども数多く掲載されていて、選手の平均身長を求めたり、ホームゲームと全試合の平均得点の比較をさせたりと、実際のデータに基づく問題が数多く盛り込まれるなどの工夫が凝らされているそうです。また、フロンターレの選手が算数の授業に参加したときは、

  • 登里享平選手が50メートルを走り、子どもたちがその選手と同時にゴールするためには何メートルのハンデが必要かを計算する。
  • 鄭大世選手のシュートの速度を時速で計測し、時速を分速や秒速に直して、動物の走る速度と比較する。

といった授業を行ったようで、子どもたちも実際に体験することで、速さなどの単位の概念を理解できたようです。
 また、11月3日の読売新聞の記事では,10月から「川崎フロンターレと本を読もう」という事業が始まったことも紹介されており、選手が選んだ推薦図書を紹介する冊子を図書館に備え付けたり、オフシーズンには選手による読み聞かせ会も催したりするなど、地域密着のために、様々な努力が払われているようです。

ナビスコカップ表彰式問題

 このように、地域密着を図って色々な努力を払ってきた川崎フロンターレですが、11月3日のナビスコカップ決勝ではFC東京に破れ準優勝に終わりました。その表彰式の際に、もらったメダルをすぐに外したり、来賓との握手を拒否したり、といった見苦しい態度をとった選手がおり、大きな問題となってしまいました。クラブとしてもすぐに謝罪をし、賞金5000万円も返還するとしましたが、Jリーグ側からは社会貢献や地域振興、選手教育に充てるようにとの指示があり、クラブとしても再発防止のための取り組みを開始したようです。
 スポーツの試合には、対戦相手や審判、スタッフを含めて、大勢の人が試合を行うために動いてくれていることを考えないと、熱くなって自分勝手な態度を取ってしまいがちです。ただ、せっかく様々な努力をして地域密着を図ってきても、このような問題が生じると、今まで築いてきた信用を一気に失ってしまうことにもなりかねません。子どもたちの憧れや手本であるプロスポーツの選手だからこそ、しっかりとした態度を取ってもらいたいものですね。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
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