きょういくじん会議
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新たな文化発信基地となるか、「座・高円寺」開館!
kyoikujin
2009/5/8 掲載

座・高円寺 ゴールデンウィーク直前の1日、高円寺に新たな芸術会館が誕生しました。その名も「座・高円寺」。茶色の鉄の壁に丸い窓ガラスの外観、それぞれ高さの違う8つの点で吊るされたテントのような屋根など、面白みのある意匠となっています。設計を担当したのは、「せんだいメディアテーク」や「まつもと市民芸術館」などで知られる伊東豊雄氏。舞台好きの方にはもちろん、建築物好きの方の注目も集まりそうな「座・高円寺」。その運営法にも注目すべきポイントがあるようです。

「歩きながら、元気と文化が生まれる街。すぎなみ」

 もともと高円寺のある杉並区は、演劇関係者が多く住んでおり、日本劇作家協会ともパートナーシップを結んでいるなど演劇がさかんな地域です。区のキャッチコピーも「歩きながら、元気と文化が生まれる街。すぎなみ」となっています。区内の富士見丘小学校では、著名な舞台関係者を講師として招き「演劇体験教室」が行われています。これは6年生の総合の時間を使い、児童が1から演劇を学び、卒業間際の2月末に公演を行うという授業です。こういった文化的な土壌がある地に、新しい劇場ができたことは大きな意味をもつのではないでしょうか。

ユニークな運営の秘密は…

 「座・高円寺」は他の劇場にはない特長がいくつかあります。たとえば、「なみちけ」と呼ばれるチケット引き換え回数券制度はそのひとつです。4枚つづりとなった「なみちけ」を購入しておけば、友人や親子など相手のチケットとしても使用することができます。手軽に劇場へ足を運んでもらいたいという願いをこめてつくられた制度といえそうです。

 また上演する演目にも他の劇場とは異なった特色があります。多くの劇場では新作劇を上演することが多いなか、「座・高円寺」は再演作の上演に対して積極的です。話題の新作の公演ばかりでなく、よい作品を再演、再生することで独自の路線を見出していこうという姿勢の表れといえそうです。

 このような独自の特色を打ち出している背景には、運営者が自治体でないことがあるようです。「座・高円寺」は、地方自治法の指定管理者制度を利用し、杉並区に在住する舞台関係者などで組織されるNPO法人、「劇場創造ネットワーク」に建物の管理・運営を委託しています。杉並区は同法人に委託することで、人件費を圧縮することができ、他方運営者側は専門家の視点からより効果的で、ユニークな劇場運営が実現できるのです。

市民の交流の場所に

 紹介したほかにも「座・高円寺」には様々な魅力があります。地下2階には名物「東京高円寺阿波おどり」のための練習ホールがあり、地元の人々の交流の場にもなりそうです。杉並の新たな文化発信基地として、今後の取り組みにも期待がもてそうです。

 なお17日まではオープニング企画として、親子で楽しめる「旅する絵本カーニバル+びっくり大道芸」が開催中。約1000冊もの絵本に触れることができるほか、ジャグリングなどの大道芸を無料を見ることができます。小さなお子さんがいる方はもちろん、国内外の絵本に触れてみたい方は足を運んでみてはいかがでしょうか?

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
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