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自殺予防マニュアル公開―文部科学省
kyoikujin
2009/4/16 掲載
自殺のサインを読みとる (講談社文庫)

 先月27日付で、文部科学省は「教師が知っておきたい子どもの自殺予防」のマニュアル及びリーフレットを作成しホームページで公開した。中学・高校教師の5人に1人は生徒の自殺に遭遇したことがあるという調査結果もあるほど深刻な課題であるだけに、本マニュアルの有効な活用が期待されている。

 マニュアルは55ページもあるが、カラーで読みやすくなっている。リーフレットはその内容を簡潔にまとめた4ページのもの。

 目次だては以下のとおり充実している。

第1章 子どもの自殺の実態
第2章 自殺のサインと対応
第3章 自殺予防のための校内体制
第4章 自殺予防のための校外における連携
第5章 不幸にして自殺が起きてしまったときの対応
第6章 自殺の危険の高い子どもへの対応事例
第7章 自殺予防に関するQ&A

 通読してもらうことが望ましいとしながらも、文部科学省としては、この中でも第2章を必読として、余裕があれば7章・5章にも目を通してほしいと訴えている。

 自殺直前の顕著なサインとして見逃してはならないのは、「自殺のほのめかし」「別れの用意(整理整頓、大切な物をあげる)」といったもののほか、「注意が集中できなくなる」「不眠、食欲不振、体重減少」などが挙げられている。

 第7章の「Q&A」はとても充実している。「子どもが落ち込んでいるからといって、何とかそれから立ち直るのが自然であって、あまり大騒ぎをして、精神科医に見せたりするのもかえって問題ではないでしょうか?」や「子どもからリストカットを『またやっちゃった』と言われ『やめた方がいいよ』と軽く返事をしています。すぐに自殺には結びつかないと思いますが、どのように接していけばよいのでしょうか。」など具体的だ。

 学校では様々な教育課題があり、学習指導要領が変わる今の時期は何かと多忙な現状があるだろう。せっかくこのような冊子形式のマニュアルを作成しているのに活用されないのではもったいない。
 取り返しのつかない事態になる前に、各学校での自殺予防研修など、教師全員が少なくとも1時間程度はこの冊子をもとに考える時間を確保することが望まれる。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
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