著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
「あれっ?」と思ってすぐの対策で、学級は必ず立て直せる!
岡山県内公立小学校高本 英樹
2018/7/31 掲載
今回は高本英樹先生に、新刊『荒れはじめに必ず効く! 学級立て直しガイド』について伺いました。

高本 英樹たかもと ひでき

 1969年岡山県生まれ。岡山県内公立小学校勤務。子どもの心に寄り添いながら、どの子も仲間とつながって、共に学び合える学級づくりを目指す。また、国語と理科や、体育と道徳など、教科を横断させたカリキュラムづくりについても研究をしている。最近は、主幹教諭として、自治的能力育成を目指した学校づくりや校内OJTの推進にも力を注いでいる。サークルやまびこ所属。教育サークルGrow up代表。
 共著に、山田洋一編・「THE教師力」編集委員会著『THE 学級崩壊立て直し』、サークルやまびこ著『スペシャリスト直伝! 授業参観&保護者会成功の極意』(以上,明治図書)、辻川和彦編著『現場発!失敗しないいじめ対応の基礎・基本』(日本標準)、白石範孝編著『白石メソッド授業塾 汎用的な力をめざす!対話的で深い学びの授業のつくり方』(学事出版)など多数。

―本書のねらいは、「荒れはじめ」の学級が崩壊に向かう前に手を打つ! というものですね。本書でも触れられていますが、「荒れ」は担任の先生が気づかないうちにじわじわと進行してしまうこともあるかと思います。まずは、「荒れはじめ」のとき、学級にどんな様子が見られるようになるのか、少し教えてください。

 教師に対しては、「授業を始める号令のときに、教師と目が合わない子が増えた」「あいさつや返事の声の大きさが小さくなってきた」「教師からの依頼を面倒くさがる」などがあげられます。子ども同士であれば、「決まった仲間とだけしか活動したり遊んだりしない」「いざこざが増えた」「ひそひそ話が増えた」といった様子が頻繁に見られ出すと危険です。

―ありがとうございます。そんな様子が見られはじめて、「自分の学級、荒れはじめているかも…」と思ったとき、担任の先生がまずもつべき心構えについて教えてください。

 まずは、以前と比べて、なぜそのように変わってきたのかを分析してみることです。子どもたちは何に対して不満を持ち、どうすることを望んでいるのか。そこが分からないと手の打ちようがありません。子どもの行動をつぶさに観察し、なぜそうなるのかを理解しようと努めるのです。そして、焦らず、今ある現状からスタートすればよいという心の余裕を持つことも大切です。

―本書では、荒れはじめの「困った」場面別に、具体的な手立てが43も紹介されています。どれも,明日の教室で実践できそうです! 43の中から、「これだけはぜひやってほしい」という手立てを1つご紹介いただけませんでしょうか。

 1つを選ぶのは難しいのですが、「あれっ?」と思ったらすぐにでも試みてほしいのは、「休み時間のおしゃべりを楽しむ」です。家庭でも自分の話を十分に聞いてもらえていない子どもがたくさんいます。たわいもないおしゃべりができることは、子どもにとって安心感やクラス内での存在感を生みます。学校以外のネタで多くの子どもとおしゃべりをすることで、クラスの雰囲気がよくなっていきます。

―手を尽くしても荒れが進んでしまったり、指導に失敗したかな…と落ち込んでしまったりすること、担任の先生にはあるのではないかと思います。そんなときも、つぶれてしまわずに乗り切る心構えを教えていただけますか。

 子どもが荒れに向かってしまうと、すぐにでも修正をかけようと躍起になります。授業にも生活態度にも目をかけ、教師が考える手立てをすべてこなそうとしがちです。すると、教師に余裕がなくなります。車に遊びがあるように、人間にも遊びが必要です。遊びのない教師に子どもは近づいてきません。また、教師自身も苦しくなります。やりたいことの2、3割ができればよしとする心の余裕を持ってほしいです。

―最後に、学級のリスタートを目指す読者の先生方へメッセージをお願いいたします!

 私のクラスが荒れたとき、先が真っ暗闇になりました。当方もなく1年間が長く感じられました。それでも、少し明かりが見えたとき、その明かりを目指すことができました。けっして焦らず、うまくいかなくてもそこからがスタートだと思って、一歩一歩ゆっくり進んでいく内に、光がだんだんと大きくなりました。そして、1年がたったとき、その光が、私にも子どもたちにも降り注ぐようになりました。朝が来ない夜はありません。闇があれば必ず光もあります。それを信じて、苦しいときも前進してほしいと願っています。この本が皆さんの歩みの手助けになれば幸いです。

(構成:小松)

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