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教師に対しては、「授業を始める号令のときに、教師と目が合わない子が増えた」「あいさつや返事の声の大きさが小さくなってきた」「教師からの依頼を面倒くさがる」などがあげられます。子ども同士であれば、「決まった仲間とだけしか活動したり遊んだりしない」「いざこざが増えた」「ひそひそ話が増えた」といった様子が頻繁に見られ出すと危険です。
まずは、以前と比べて、なぜそのように変わってきたのかを分析してみることです。子どもたちは何に対して不満を持ち、どうすることを望んでいるのか。そこが分からないと手の打ちようがありません。子どもの行動をつぶさに観察し、なぜそうなるのかを理解しようと努めるのです。そして、焦らず、今ある現状からスタートすればよいという心の余裕を持つことも大切です。
1つを選ぶのは難しいのですが、「あれっ?」と思ったらすぐにでも試みてほしいのは、「休み時間のおしゃべりを楽しむ」です。家庭でも自分の話を十分に聞いてもらえていない子どもがたくさんいます。たわいもないおしゃべりができることは、子どもにとって安心感やクラス内での存在感を生みます。学校以外のネタで多くの子どもとおしゃべりをすることで、クラスの雰囲気がよくなっていきます。
子どもが荒れに向かってしまうと、すぐにでも修正をかけようと躍起になります。授業にも生活態度にも目をかけ、教師が考える手立てをすべてこなそうとしがちです。すると、教師に余裕がなくなります。車に遊びがあるように、人間にも遊びが必要です。遊びのない教師に子どもは近づいてきません。また、教師自身も苦しくなります。やりたいことの2、3割ができればよしとする心の余裕を持ってほしいです。
私のクラスが荒れたとき、先が真っ暗闇になりました。当方もなく1年間が長く感じられました。それでも、少し明かりが見えたとき、その明かりを目指すことができました。けっして焦らず、うまくいかなくてもそこからがスタートだと思って、一歩一歩ゆっくり進んでいく内に、光がだんだんと大きくなりました。そして、1年がたったとき、その光が、私にも子どもたちにも降り注ぐようになりました。朝が来ない夜はありません。闇があれば必ず光もあります。それを信じて、苦しいときも前進してほしいと願っています。この本が皆さんの歩みの手助けになれば幸いです。