- 著者インタビュー
- 生活・生徒・進路指導
中学校の生徒指導はここ数年、反社会傾向から非社会傾向へとシフトしてきました。本シリーズはハード編とソフト編に書き分けられていますが、前者は反社会傾向に対する指導として機能するでしょうし、後者は非社会傾向に対する指導として機能するでしょう。ただし、どちらかに偏るのではなく、ハード編とソフト編の両方を読んでいただくことで、バランスの取れた生徒指導のスキルが身につくはずです。
反抗期まっただ中の中学生は、束縛されることを好まない傾向にあります。しかし、なぜ、なんのために、どのようにといった根本理念を教えることにより、集団をよりよく向上させる方法を理解し、納得し、実行しようとする姿勢が多く見られます。目の前の子どもたちを大人へと自立させるにあたって、私たち教師は、欠けている要素を指導することを決して怖れてはいけません。ただし、子どもたちの日常生活を機能させるためには、ほんの少しの工夫が必要と言えます。
子どもたちにとって毎日の学校生活が居心地のよいものであることに越したことはありません。ただし、力の強い特定の者だけが好き勝手をして居心地がよいように見える反面、居心地が悪いと感じる生徒も実はたくさんいるクラスと、誰もがほんの少しずつ我慢して、毎日全員が小さな満足を感じ合えるクラスの、どちらがよいでしょうか。その答えは明確です。現実ばかりを直視するのではなく、あるべき理想の姿を追求させるために、子どもたちの心に火をつける指導を心がけたいものです。
中学校はいまだに生徒指導畑の教師が空気をつくる傾向にあります。それももちろん必要な要素ではありますが、子どもたちにとって、マイナスに作用することも少なくありません。恐い先生の前では静かにしておこうとか、黙っていればバレずにやり過ごせるとか、見つかったら反省しているフリをしようとか……。逆に、この先生なら信じてついていこうと思わせることも可能でしょう。教師には子どもたちを感化する力が必要と言えるわけです。
反社会型・脱社会型生徒の指導と非社会型生徒の指導に加え、本書の第3章には「集会・行事指導に関する指導スキル20」を盛り込みました。年度末・年度初めには不可欠なすきま指導スキルと言えます。一度お読みいただけると、そこから汎用可能なスキルを生み出せるに違いありません。自分なりのすきまスキルを、ぜひ生み出してほしいと思っています。