著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
すきまスキルが指導の統一と定着を生む!
生徒が主体的に活躍できるための環境調整とは
北海道公立中学校山下 幸
2017/9/19 掲載
 今回は山下幸先生に、新刊『中学校 学級経営すきまスキル70』について伺いました。

山下 幸やました みゆき

1970年北海道苫前町生。北海道教育大学岩見沢校卒。1992年北海道空知管内小学校教員として採用。1995年「研究集団ことのは」に入会。
『中学校 生活指導すきまスキル72』も好評発売中。

―本書は、「すきまスキル」シリーズの学級経営編として、小学校低学年、高学年、中学校の3冊構成でご提案いただいています。山下先生には「中学校編」をおまとめいただいておりますが、本書のねらいと読み方について、教えて下さい。

 中学校の特徴は、学年づくりが中心となる学級担任制と、授業づくりが中心となる教科担任制にあるでしょう。
 学年づくりに関しては、基本方針に基づいた具体的展開を各学級で一致させることとなります。この際、教師側がごく些細な、いわば

すきまのようなスキルで指導を統一し、それに沿った定着を目指すこと

で、学級づくりはもちろん授業づくりにも効果を発揮するはずです。

―小学校と中学校では、発達段階の違いもあり、学級づくりにかかわる対応も変わってくる部分があると思いますが、中学校ならではのポイントがあれば教えて下さい。

 昨今の中学校においては、中1ギャップ対策が喫緊の課題です。
 1学期段階で「3・7・30・90の法則」などを活用しつつ、中学校というシステムにできるだけ早く、生徒を慣れさせることが求められます。
 2・3年生の学級解体→学級編制時においても、指導を統一したスキルが適切に盛り込まれる必要があるでしょう。

―次期指導要領において「主体的・対話的で深い学び(いわゆるアクティブ・ラーニング)」が取り上げられたこともあり、学級づくりにおける生徒の「主体性」についても注目されているところですが、生徒が主体的に活躍できる、自主的に動くことが出来るような学級をつくるには、どのようなことが大切でしょうか。

 消費者的な発想をもつ生徒や保護者に対応するには、従来の規律訓練型の指導だけでは通じない時代となりつつあります。教師側で

ハード面とソフト面の双方から環境調整を行い、生徒が主体的に活躍できる場を設定する

必要があります。

―本書のまえがきでは、堀先生より、学級経営でつまずく要因は、遅刻しがちな生徒への指導や行事での対応など、実は細かなことの積み重ねによるものであると触れていただいています。その「スキル」をご紹介いただいたのが本書ですが、その指導における「ハード」と「ソフト」の視点の重要性について教えて下さい。

 「ハード」はトップダウン式の規律訓練型と言ってもよく、教師が先頭に立ってさきがけとして機能させるパターンであり、スピード感を要するアクセルとしての働きもあります。
 「ソフト」はボトムアップ式の環境調整型と言ってもよく、生徒の後ろから支えるしんがりとして機能させるパターンであり、時に立ち止まる必要性を要するブレーキとしての働きもあります。

―最後に、読者の先生方へメッセージをお願い致します。

 中学校の学年・学級づくりとして機能するように、理念や思想を押さえながら現場で使えるスキルを集積したつもりです。
各学校の実態に応じて改良・改善も可能です。
 大切なのは、生徒たちが納得して充実した毎日を送れるようにすることです。ご意見・ご感想をいただければ幸いです。

(構成:及川)

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