著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
「文字・数」学習の導入から使える絵カードワーク
東京都公立特別支援学校大高 正樹
2017/7/21 掲載

大高 正樹おおたか まさき

東京学芸大学障害児教育学科卒業。新任教師時代から障害児基礎教育研究会に参加。
現在,東京都公立特別支援学校教諭。
著書に、『知的障害のある子への<文字・数>前の指導と教材―楽しく学べるシール貼りワーク&学習段階アセスメント表付き―』『【CD−ROM付き】知的障害のある子への「日常生活」の指導と教材−楽しく学べる絵カード全データ&学習段階アセスメント表付き―』がある。

―本書は子どもの発達段階に合わせて使える効果バツグンの絵カードワーク集とのことですが、どんな内容があるのですか?

 「絵カード同士のマッチング」のように「同じ」を見つける段階(定型発達児で1歳、2歳)から、「頭文字が同じ絵を探す」「しりとりで絵をつなげる」などのように、「音韻」を意識できる段階(定型発達児で4、5歳)までの課題を20段階で構成しています。

―本書のワークはどんな風に使っていただくのがよいのでしょうか?

 何よりも大切なのは、「できない課題を繰り返し行い、覚えこませる」のではなく、子どもの「できる課題」を捉えることが大切です。そして、「できる課題」をたくさんのバリエーションで行うことです。その際に、できたらタイミングよくほめ、正解だということを共感することが大切だと考えます。

―CD−ROMにはイラストや本書に掲載しきれなかったワークがたくさん入っているとのことですが、具体的に何点くらいどんなものが入っているのでしょうか? どう使うのでしょうか?

 ワークは段階により枚数にばらつきがありますが、全部で1000枚を収録してあります。前述しましたが、「できる課題」をたくさんの種類行うことが大切です。そのために、子どもができる段階の課題をたくさん行っていただくためのワークです。プリントアウトしてぜひご活用ください。また、子どもの実態に合わせてワークを作成いただけるように、イラストも1687点収録しています。

―本書には「MOアセスメント」という子どもの発達段階を捉えるアセスメントが掲載されていますがこれはどのようなものですか?

 私は、20年教師をする中でたくさんの教材を作ってきました。その教材を整理整頓するには、大まかな難易度ごとに分けると自分自身にとってわかりやすいことに気づきました。また、その教材を分けるときに、大まかな「節目」となっている教材があることにも気づきました。それが「МОアセスメント」です。20段階の教材があるので、どこが子どもの「できる」と「できない」の境目になるか試していただけるとよいかと思います。また、本書に掲載した「20段階の絵カードワーク」もМОアセスメント同様にどこが子どもの「できる」と「できない」の境目を知る手立てになるかと思います。

―最後に、障害のある子の指導にかかわられる先生方にメッセ―ジをお願いいたします。

 私が常に自分に言い聞かせているのは「発達段階は参考にすれば大成功、でも『絶対的なもの』と決めつけすぎると大失敗!」ということです。本書に示した20段階も絶対的なものでなく、あくまで「参考」なのです。発達段階を柔軟に捉え、うまく本書を活用していだけると嬉しいです。

(構成:佐藤)

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