- 著者インタビュー
- 学習指導要領・教育課程
中央教育審議会答申を見た先生方から、分量が多いのでどこをどう見ればよいのか分からないという声をよく聞きます。本書は、答申を読み解くために、何が基本コンセプトになっているかを明らかにし、それを枠組み(見方や考え方)として解説したものです。そのため、冒頭に記載した枠組みとキーワードを使って読み解いていただきたいと思います。
人工知能(AI)などを活用した第4次産業革命が進み、これからどのような社会が到来するのか予測困難な時代に生きるためには、知識を獲得したり、それを活用して直面する課題を解決する能力の育成が必要だと考えます。そのために、「実際に能力を発揮するための学習活動」が展開できるカリキュラムが求められているのです。
アクティブ・ラーニングの視点による授業改善のポイントは、能力育成は能力を発揮する活動、例えば、思考力は子どもに考えさせてはじめて育成できるという考え方が根底にあります。また、これに加えて、どのように考えるのかその方向性や質の高い知識を活用させることで、教科等の本質をとらえる思考力が育成できます。そのため、どのような知識を獲得させるかを明確にし、それを活用してどのような学習課題を追究させるかという単元レベルでの指導計画の作成が必要です。
「目標に照らしてその実現状況を評価する」という考え方はこれまでと同じであり、「観点別評価やそれを総括して評定を行う」ことも変わりないので不安を感じる必要はないと思います。ただし、これまで以上に、知識を活用して考え、判断し、その結果や過程を説明するなどの能力を評価する方法を開発することが求められます。
次の社会を形成する子どもたちには、コンテンツ(知識)を使いこなすコンピテンシー(能力)が必要です。それを実現するのは先生方だと思います。存分に指導力を発揮していただきたいと思います。