著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
算数の指導内容にそったユニバーサルデザインの視点で日々の授業を見直そう!
愛知教育大学名誉教授志水 廣
2016/10/18 掲載

志水 廣しみず ひろし

1952年、神戸市生まれ、大阪教育大学卒業。神戸市の公立小学校に勤務後、兵庫教育大学大学院修了(数学教育専攻)。筑波大学附属小学校教諭、愛知教育大学数学教育講座教授、同大学大学院教育実践研究科教授。2015年3月定年退職。同年4月より同大学院再雇用。同大学院特別教授。愛知教育大学名誉教授。各地の小学校で示範授業や指導講演をして活動中。授業力アップわくわくクラブ代表、志水塾代表。

―本書は、『算数授業のユニバーサルデザイン5つのルール・50のアイデア』に続く内容になっています。今回は「指導技術編」とのことですが、前著との違いはどのような点でしょうか。

 前著は、算数の授業というよりもユニバーサルデザインの一般的理論と算数指導のあり方について主に語られています。今回は、算数科の内容を扱う実際の授業で教師の動き、子どもの動きをどのようにすればよいかについて具体的に書きました。たとえば、実感させることや対比の場面をつくって子どもにわからせるようにすることです。

―本書は、しかけ1から4まで「4つのしかけ」に章が分かれていますが、その「4つのしかけ」について簡単に教えてください。

しかけ1「わかる」では、子どもがわかる授業の仕組み方。
しかけ2「できる」では、子どもが「できる」ことの大切さのための手立て。
しかけ3「そろえる」では、算数の授業ならではの様々な差の開きをいかにして縮めるかの方法。
しかけ4「よりそう」では、子どもの立場にたつ授業づくりのこつ。

 これらの4つで構成しました。

―授業のユニバーサルデザインでは、「見える化」「焦点化」「つなげる化」…など、「〇〇化」という手立てが必要ですが、本書ではそれらの手立てをどのように紹介しているのでしょうか。

 算数の内容が「わかる」「できる」「身に付く」ためには、分かりやすい授業、できるようになる授業が求められます。そのためには、内容を明確に見える化する必要がありますし、今どこに焦点を当てて考えているかについて指示が必要です。さらに既習内容と新規内容が関係づけられることです。そのために、具体的な事例をもとに書きました。

―本書では、具体的に60のアイデア(手立て)を紹介していますが、それらを実際の授業ではどのように活用していけばよいでしょうか。

 60のアイデアはすべて実際の授業から取材したものです。幸いにもこれまでに6000人の授業を参観してアドバイスしてきました。もちろん、私の示範授業からも取り上げています。よって、架空の話ではありません。成功事例や失敗事例から授業改善の手立てを明記しました。

―最後に、全国の算数授業のユニバーサルデザインに取り組む先生方に一言お願いいたします。

 どの子も「わかる」「できる」「身に付く」ようにしたいというのが志水メソッドの根幹です。授業のユニバーサルデザイン化というのは、この根幹にぴったりあてはまります。志水メソッドと言えば〇付け法意味付け復唱法が特に有名ですが、これだけではないことを本書では書きたかったのです。教師の様々な配慮や工夫によって、子ども達が生き生きとし、「わかった」「できた」という声が上がります。ぜひとも、皆様の学級で実践されてそのような声がたくさんでることを期待しております。

(構成:木山)
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