- 著者インタビュー
- 学級経営
ずばり人間性です。
技術以上に、その先生の在り方、マインドが大事だと思っています。
子どもに言っていることをその先生がきちっと実行していれば信頼されるでしょう。間違えたときは素直に謝るという潔さがあれば、誠実さが伝わるでしょう。先生自身が誰かに憧れ、学び、成長し続けていれば、子どもはその姿勢に感化されるはずです。
ただそうは言っても、熱意だけでなく、事実として子どもを伸ばすことのできる指導力、専門性もなくてはならないスキルだと思います。
指導したことが定着するからです。
事前指導をすれば、子どもはどうすればよいのか、望ましい行動がわかります。
そして活動の後に、先生が評価(ほめる・指摘する・叱る)をすれば、子どもは次回どうしたらよいのかがわかります。
活動の後に評価がないと、子どもは何がよくて、何がよくなかったのかわかりません。そうなると、不安を感じます。
ただ、子どもを育てるという観点では、毎回毎回、事前指導するのではなく、子ども自身が考え行動できるように指導することも大切です。また、評価に関しても先生だけでなく、子ども自身自己評価、相互評価する方法もあります。そのあたりのことも本書では紹介しています。
1つめは、134ページの「初っ端アンケート」です。
子どもの得意・不得意分野がわかります。学級全体の傾向を粗っぽくですが、つかむことができます。先生の1学期の指導の振り返りにもなります。
多くの子が苦手としているものを早めに克服させてあげましょう。そうすることで先生に対する信頼感もさらに高まるはずです。
2つめは、106ページの「荒れの兆候」発見の視点と対処法です。
学級の傾きが顕在化されるのが、9月頃です。「まあ、子どもたちは素直だし、何とかなるか」と安心に浸るのではなく、改めて客観的に自分の学級をチェックしてみましょう。
3つめは、運動会関連のワザです。秋は運動会の季節です。私は初任者の頃、学年を動かすのが大変苦手でした。
集団を動かす基本的なスキル(整列のさせ方、事前指導の仕方、評価の仕方など)を載せました。丸腰で子どもの前に立つより、ずっと自信をもって指導できるはずです。
1〜6の左ページにはワークが入っています。
時間をかけて、一度しっかりと取り組んでみてほしいと思います。そうすることで、自分を振り返ることができ、指導が変わっていくと思います。
本書の実践をただマネするだけではなく、ご自分の実践と重ね合わせたり、別の場面に応用できないか考えたりすることが実践力を高めるうえで大切だと考えます。
私は初任者時代、授業でも学級経営でも大きく挫折しました。
とてもつらい経験をしました。子どもにもつらい思いをさせました。
その経験を思い返しながら、当時の私と同じように悩んでいる若手の先生方に向けて本書を記しました。
どうか、一人で抱え込まずに同僚や仲間に相談してみてください。ときには、自分のためにゆっくり休んでください。
そして元気になったら、教育書を読んだり、セミナーやサークルに参加したりして研さんに励んでください。子どもたちの変化に手ごたえを感じ、先生自身の自尊感情が高まるはずです。そうなってからが楽しい職業だと思います。
いつかご一緒に勉強しましょう!