著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
「人とふれ合って感じる」エンカウンターで学級づくりは変わる!
富山県教育カウンセラー協会代表水上 和夫
2016/3/17 掲載
今回は水上和夫先生に、新刊『スペシャリスト直伝! 小学校エンカウンターで学級づくりの極意』について伺いました。

水上 和夫みずかみ かずお

スクールカウンセラー、富山県教育カウンセラー協会代表、日本教育カウンセリング学会常任理事(研究委員長)、上級教育カウンセラー、ガイダンスカウンセラー、構成的グループエンカウンター公認リーダー。
構成的グループエンカウンターに関する先駆けの修士論文を執筆。以来、國分康孝先生を師と仰いで教育実践を続けている。主任指導主事、県総合教育センター教育相談部長、小学校長等在職中からエンカウンターによる人間関係づくりを発信。教師の指導力向上を第一に考え、「教育は現場からしかよくならない」をモットーに活動している。現在も小・中学校でエンカウンターを取り入れた「いじめ防止ワークショップ」や「学級づくり研修会」を行っている。

―本書には、構成的グループエンカウンターの理論と実践がたくさん掲載されています。はじめに、構成的グループエンカウンターについて、あらためて教えていただけますか。

 エンカウンターは本音と本音の交流です。構成的グループエンカウンターはリーダーが用意したプログラムをもとに作業や討議をして人間関係をつくり、個人の行動変容を目指します。小学校でのエンカウンターによる人間関係づくりは、人とふれ合うことを楽しむようにすることがポイントです。「枠組み」を構成することで本音と本音の交流を促進するエンカウンターのスキルは、学級づくりの指導力と相通じるものがあります。

―本書には、「学年別」「学級開き」「問題場面」など、様々な場面におススメのエンカウンターをご紹介いただいております。4月に向けて本書を手に取る先生も多いと思いますが、学級づくりにどのようにエンカウンターを生かしていけばよいのでしょうか。

 小学校で人間関係力を育てる場は学級です。エンカウンターで学級集団のよさに気づかせることで、学級を子どもの心の居場所にすることができます。本書を参考にエンカウンターをいろいろな場面で活用してみてください。「言って聞かせる」だけでなく、「人とふれ合って感じる」エンカウンターを取り入れることで学級づくりは変わります。繰り返して行う場合は3分あればできます。できそうだと思ったエクササイズから取り組んでみてください。

―先生は、本書の様々なところで、「自己開示の大切さ」を書かれていらっしゃいます。なぜ「自己開示」が大切なのでしょうか。また、それ以外にもエンカウンターを行う上で大切なことを教えてください。

 教師は指示や指導はしても、自分の気持ちを語ることはあまりありません。そのような教師が、「よくできましたね」とほめても言葉に力はありません。わかりやすく、理詰めで話すだけでは、子どもとの感情交流は生まれないのです。自己開示をうまく使う教師は子どもとの距離を縮め、関係を深めることができます。教師が自分を開いて語る姿は、子ども同士の本音と本音の交流を促進し、人間関係の垣根を低くすることにつながります。

―最終章では、エンカウンターを授業づくりに生かすお話もありました。アクティブ・ラーニングが話題になっている今、授業はどのように変わっていくべきだとお考えですか。

 エンカウンターのスキルを習得することで、授業で集団の力を引き出すことができます。授業づくりと学級づくりを一体化した授業を進めることができるのです。エンカウンターを授業づくりに生かすことで、主体的・協働的に学ぶアクティブ・ラーニングの指導力が高まるのです。そしてペアやグループのシェアリングを取り入れるなど、子どものかかわりを生かした授業を進めるアクティブ・ティチャーが増えることを願っています。

―最後に、本書を読んで「エンカウンターを生かして学級づくりを行おう」という読者の方にメッセージをお願いします。

 本書ではエンカウンターを生かした学級づくりを「学年別」「学級開き」「学期毎」「問題場面」などに分け、理論と具体的エクササイズをわかりやすく紹介しています。これまでエンカウンターを知らなかった教師でも考え方を理解して学級づくりに取り組むことができます。あなたもエンカウンターにチャレンジし、「かかわり」と「つながり」のある集団づくりに取り組むことで、学級づくりの醍醐味を味わってください。

(構成:茅野)
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