- 著者インタビュー
- 算数・数学
一方的な講義型の授業では、入試問題の解法を教師が説明しても、ただ聞いているだけ、ノートに書いているだけで、わかったつもりになっている生徒はいなかったでしょうか?
そこで、その解法を、生徒に説明させてみてはどうでしょう。自分の理解度も認識できるし、聞いているだけよりも理解が深まります。
このように、大きく授業を変えなくても、少しアクティブ・ラーニングを取り入れるだけで、知識・技能の定着度も変わってくるのです。
例えば、学習課題をグループやペアで話し合わせたいと考えます。しかし、育てたい力によって、お互いの考えを「比較させたい」のか「関係付けたい」のか「他面的に見させたい」のかと、その目的が違ってきます。この目的がはっきりすれば、「シンク=ペア=シェア」を使うのか、「ワードウェブ」や「ラウンド=ロビン」を使うのかと目的に合った技法の選択をすることができます。
本書では、先生方が選択の幅を広げられるように、これまで実践して、効果のあった技法を多く紹介することにしました。
学習課題と技法によって、グループ編成の方法は変わってきます。グループの形態(フォーマル、インフォーマル、ベース)や人数、特性(同質・異質)、決定方法(生徒主体・教師主体)、役割を与えるかどうかなどを考えてみてください。
そして、環境づくりも大切です。安心して自分の考えや意見を発言できないようでは、グループ活動は活性化しません。教師は生徒の力を信頼し、生徒自らが運営していることを手助けするという、促進役としての役割が増えてくるのです。
あるアクティブ・ラーニング研修会で、現場の先生方が今後知りたい情報として「教科書を使ったアクティブ・ラーニング型授業の具体的方法」や「入試との関連(学力向上)」があると聞きました。本書はそれらに応える内容になっていると思っています。
「この手法、おもしろそうだな」「教科書の例題の後に取り入れてみようかな」と、明日からの実践にすぐ役立つようにと考えたつもりです。なぜアクティブ・ラーニングを取り入れるのか、アクティブ・ラーニングをどのように取り入れれば生徒の学びが深まるのか、本書をきっかけとして考えていただければ幸いです。