- 著者インタビュー
- 特別支援教育
学習指導では、児童のつまずきは何か、なぜわからないのか、どうすればわかるのかなどの児童理解が一番難しいと思います。その後の児童の実態に応じた指導計画や1時間の授業展開、指導の工夫などの授業づくりも、身近に教えてくれる人がいないととても難しいです。
二つ目は、特別支援学級の児童は、一人一人の発達段階や障害の状況も様々で、個人差の幅がとても大きいのです。小集団で教科指導を進める際に、全体を進めながら個に応じた指導をどのようにすれば良いのか、ものすごく悩むところですね。
前半は、特別支援学級に関する法的根拠や教育課程について説明しています。次に、知的障害、自閉症・情緒障害のそれぞれの特別支援学級で学ぶ児童のつまずきや学びの特性にも触れています。その点を理解された上で、後半の授業づくりの基本や実践事例を読んでいだたければ、日々の指導計画や授業計画作成、実践に具体的、実際的に役立てることができると考えています。どの実践も、一人一人の児童の思考力や表現力の育成に視点を当てて、分かる、理解できることを目標に書かれています。
コラムでは、専門家や特別支援学校との連携について掲載していますので、ぜひ参考にして授業づくりに取り入れてください。
本書では、国語科と算数科の授業づくりに絞って実践事例を掲載しています。そして、児童の実態に応じて下学年の教科書や教材を使用することも書き添えました。
知的障害特別支援学級編の国語科では、下学年の教科書を使用した説明文や物語文の読みの指導を中心に、作文指導も掲載しました。算数科は、たし算・ひき算・かけ算を中心とした実践事例です。
自閉症・情緒障害特別支援学級編では、当該学年の教科書を使用して、国語科の読みの指導事例や算数科の図形指導まで掲載しています。ぜひ参考になさってください。
ここ10年余りの間に、特別支援学級を取り巻く状況や在籍する児童の様子が大きく変わってきました。これからは、特別支援学級における指導の充実を目指して、通常の学級との連続性について常に念頭に置きながら授業づくりをしていくことが大切です。
また、通常の学級においてユニバーサルデザインの授業づくりが求められている今、特別支援学級における特別支援教育の専門性の向上は、学校全体においてもとても重要です。先生方の教科指導の工夫や指導技術が通常の学級の先生方にとって、とても参考になるからです。今後は、本書を大いに活用していただき、校内や地域に貴重な実践をどんどん発信してくださることを心より願っています。
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