著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
目指せ! 超一流の研究主任
熊本市立高平台小学校教頭藤本 邦昭
2015/2/10 掲載
 今回は藤本邦昭先生に、新刊『実務が必ずうまくいく 研究主任の仕事術 55の心得』について伺いました。

藤本 邦昭ふじもと くにあき

1965年愛媛県生まれ。熊本大学教育学部卒業後,私立高校等の講師を経て,熊本県の公立小学校・中学校に勤務。現在,熊本市立高平台小学校教頭。
全国算数授業研究会総務幹事,基幹学力研究会世話人,日本数学教育学会小学校研究部,少林寺拳法熊本海西副道院長(正拳士五段)。

―研究主任の最初の大仕事は、校内研修の計画書づくりだと思います。はじめて研究主任になった先生は、何から手をつければよいのでしょうか。

 計画書づくりで大事なことは3つあります。
 1つめは「実態把握と人心掌握」です。自校の物的環境や研究の流れ、教育事情を把握することだけでなく、職員とのコミュニケーションを密にとることも必要です。 
 2つめは「実行可能な企画の構築」です。年間計画を主とした企画作成をします。常に「だれが」「何を」「いつ」「どの程度」すればよいかを明確にします。
 3つめは「成果指標の設定」です。校内研修の最終的なゴールを「職員の姿」「子どもの姿」でイメージできるようにします。
 これらをより具体的にしていくことから計画書づくりは始まります。

―学校によっては、校内研修に対する職員の温度差が小さくないこともあると思います。そのような状況でも職員のやる気を引き出す工夫を1つ教えてください。

 どのような仕事でも、充実感や達成感があれば、負担感を覚えることはありません。研究主任は、すべての職員に充実感や達成感を味わってもらえるように工夫を凝らす必要があります。
 その1つとして「評価」があります。簡単に言えば、「よいところを見つけ、価値づけし、本人と周囲に知らせる」ことです。「先生のあの指導法をまねてやってみたら、子どもがこんなに変わりましたよ」と職員室で伝えたり、研究通信で紹介したりします。子どもだけでなく教師も、前向きに評価されると、もっとがんばろうと思えるものです。

―本書では、研究授業を行う際、研究主任は参観者の立ち位置まで気をつかうべきであると述べられています。それはなぜでしょうか。

 研究授業は、うまくいった、失敗した、ということを論じるために行うのではなく、授業者の手だてが有効だったのかどうかを検証するために行うもので、子どもの反応と授業者の手だての両方を同時に観察する必要があるからです。
 保護者参観のように、教室後方から授業を観ていては、子どもの反応を的確にとらえることはできません。そこで、できるだけ教室の斜め前、あるいは側方から子どもと板書の2つが同時に見えるところを参観者の立ち位置とします。

―最後に、読者の先生方に向けてメッセージをお願いいたします。

三流の教師は、子どもに「だれかのせいで…」と恨ませる。
二流の教師は、子どもに「先生のおかげで…」と言わせる
一流の教師は、子どもに「自分の力で…」と思わせる。 
超一流の教師は、子どもに「みんなのおかげで…」と感謝させる。

 これは、私が学級経営をしていたときに心に刻んでいた言葉です。
 この中の「教師」「先生」を「研究主任」に、「子ども」を「職員」に、それぞれ置き換えてみると、理想の研究主任の姿が見えてくると思います。
 研究主任は、職員を伸ばすことが仕事です。経験豊富なベテランの先生が退職し、経験の浅い若手の先生が急激に増えてきている現在、人材育成は学校経営の生命線であると言えます。校内で行う「研究」と「修養」には、これからの学校教育の未来がかかっています。
 どうぞ、本書をきっかけに超一流の研究主任を目指してください。

(構成:矢口)
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