- 著者インタビュー
- 教師力・仕事術
頭が痛いと言って来院した患者に、若い医師が「私はまだまだ新米ですから、ちゃんと治るかどうか自信がありません」と言ったら、患者はどう思いますか? 名医と言われるには努力と才能と経験がいるでしょうが、医師として患者の前に立つ以上は、プロとしての意識を持たなければなりません。
教師だって、同じです。仕事として教師をしている以上は、全員が「プロ教師」です。カリスマでも名人でもなくても、目の前の子どもに対して責任を持たなければならないということです。
完璧をめざすな、ということです。
教育は、全て見切り発車です。僕は、完璧に準備ができたと思って教壇に立ったことは、一度もありません。教師としての準備時間は、限られているのです。どこかで「見切り発車」しないと、きりがないのです。「プロ教師」=「完璧」とは、思わないことです。
中堅は、教科面でのレベルアップが必要です。小学校で全教科を毎日教えながら、日々の教科を深いものにしていくのは、3年目までの教師には難しいことです。しかし、学校行事、学級づくりというものが、ある程度できるようになってきたら、教科についても深い実践ができるようにならなければいけません。
ベテランは、保護者対応と他の教師のフォローまでできてこそ、「ベテランプロ教師」です。プロ教師にも、ステップがあるということです。
本文にも書きましたが、八巻寛治さんの不思議な経歴が、今のバリエーションのあるスキルにつながっているのだなということ。最前線で戦闘に立って戦っている切り込み隊長が、中村健一さんだなということ。山田洋一さんのような優れた実践家でも、紆余曲折、ジレンマ等を抱えていたんだなということ。
格式ばらない、酒屋での、ふだんの会話の延長のようなインタビューの良さが出ているように思います。
誰が何と言おうと、教師として報酬を得ていること、しかも、それは決して生活もできないような安いものではないということの責任を自覚してほしいと思います。
みなさん、プロなのです。もちろん、一流の教師、カリスマ教師ではないかもしれません。でも、目の前にみなさんのアドバイスや指導を待っている子どもたちがいるのです。その子たちを育てられるのは、自分しかいないのだ、ということを忘れないでください。