著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
永遠のテーマ「英語授業の組み立て方」を確立するために
北海道壮瞥町立壮瞥中学校教諭大塚 謙二
2014/1/29 掲載

大塚 謙二おおつか けんじ

北海道伊達市出身。麗澤大学外国語学部イギリス語学科卒業。松前町立小島中学校、白老町立白老中学校、伊達市立伊達中学校勤務を経て、北海道教育大学大学院英語教育専攻修士課程修了。洞爺湖町立洞爺湖温泉中学校勤務を経て、現在壮瞥町立壮瞥中学校に勤務。

―本書は「英語授業の組み立て方」について詳しく紹介した書籍ですが、どのような理由からこの本を刊行することになったのでしょうか?

 色々なセミナーで出会う若い先生たちだけではなく、近隣の学校のベテランの先生たちからも、自分自身の授業の組み立て方や流れに悩んでいるということをよく耳にします。そこで、私自身も長い間考え、多くの生徒たちが力をつけてきたことを本書で紹介することが、各学校で子どもたちに適する授業の組み立てを考えてもらうためのきっかけになればと思いました。

―英語授業を組み立てていく上で、大塚先生は何が一番大切だとお考えになりますか?

 ベースとなるのは、授業中の規律正しさです。多少のピリッとした雰囲気をつくることができなければ、授業をどのように組み立てても上手くいきません。ですから、最初の1週間は厳しめに授業中の約束を守らせます。そして、これがきちんとできた上で、目の前の生徒たちの様子(レベル・学級の雰囲気)を把握し、教師の理想とする、活発に活動し、集中できるような組み立て方を考えます。注意して欲しいことは、いつもガミガミ怒っている先生ではなく、明るく朗らかに、よいことはほめてあげて、でも、ダメなときはダメとピシッと言える先生です。それが、生徒たちとの信頼関係の構築につながります。

―本書にはサポート情報として数々のファイルが用意されています。このファイルの活用方法を教えてください!

 本書に掲載している9種類のプリントのパソコンデータのファイルはサポートページからダウンロードできます。これは、生徒たちが英語力を高めるために効果が高かったものを読者の方に学校の実態に合わせて変更して使っていただくためのものです。教科書が違うと文法事項などの配列も違いますが、パソコンデータなら簡単に直すことができます。
 例えば、UPUP Grammar & Expressions という中学校全学年分の文法事項とそれを使った基本文を掲載してありますが、先生方によっては、使用する例文や英単語を変えたいこともあると思います。ゼロから作り始めると大変ですが、データがあればそれを直して作成すると、短時間でできます。各学校や学級の実態・状況に合わせてお使いください。

―教科書のデジタル化も進んでいますが、授業中に使用するデジタル教材を作成するコツなどがありましたら教えてください。

 デジタルのよいところは、ひとつの基本となるものを作ると、それをコピーして文字を修正するだけで、すぐに自分の使いたいものを作ることができることです。アニメーションや自動実行の設定が苦手な先生もいると思いますが、パワーポイントで動きのある画面を作るような時は、私のホームページから無料でデータをダウンロードできますのでご利用ください。

―「小学校英語の教科化」「中学校でも英語で授業」など、英語教育界は大変革の時期を迎えていますが、このような状況を踏まえて、中学校で英語を教える先生方に向けてのメッセージをお願いします!

 日本の英語教育は、明治維新のような大きな変革をしようとしています。それも、急速に! しかし、どんな時も「どのような英語力を生徒たちにつけてあげたいのか?」「英語の授業を通してどんな生徒になって欲しいのか!」をしっかりと見極めて、中心がぶれない授業を作っていきましょう。「活動あって、学びなし」そんな授業では子どもたちがかわいそうです。どんな活動にも目的があり、つけたい力がある、そのためにはどんな活動をするのがよいのか? その活動が一番効果的なのはどのような順番で授業を組み立てるのがよいのか、十分吟味していきましょう。これからの日本の英語教育が楽しみです。

(構成:木山)
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