著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
学級づくりと歌唱指導の両面から、合唱コンクール指導に取り組もう!
北海道河東郡上士幌町立上士幌中学校教諭石川 晋
2013/6/26 掲載
 今回は石川晋先生に、新刊『音楽が苦手な先生にもできる!学級担任の合唱コンクール指導』について伺いました。

石川 晋いしかわ しん

北海道河東郡上士幌町立上士幌中学校教諭。
1967年生まれ(北海道旭川市出身)、1989年北海道教育大学旭川校卒業。2003年同修士課程修了。2009年河東郡上士幌町立上士幌中学校赴任。
主な著書に、『「対話」がクラスにあふれる!国語授業・言語活動アイデア42』『学び合うクラスをつくる!「教室読み聞かせ」読書活動アイデア38』(以上明治図書)、『学級通信を出しつづけるための10のコツと50のネタ』『中1ギャップ―中学校生活になじむ指導のポイント』『クラスに安心感が生まれるペア・グループ学習』(以上学事出版)、『中学校学級担任のためのポジティブコミュニケーションカード』(民衆社)、『中学校国語科学習ゲーム〜授業づくりの活性化につながる体験的な学び〜(DVD)』(ジャパンライム)、明日の教室DVDシリーズ第8弾「学級担任が行う合唱指導(「旅立ちの日に」)&オムニバス型国語授業」(Kaya)などがある。
ブログ:すぽんじのこころ http://suponjinokokoro.blog112.fc2.com/

―本書には、合唱コンクールに向けて事前〜事後指導の多岐にわたって指導のポイントが紹介されていますが、合唱コンクールは、ほかの行事となにが違うのでしょうか?

 「学級づくり」と「(コンクール特有の視点も含めた)音楽の専門的な指導」とがくっついている点ですね。体育祭などには当然体育的指導の側面がありますが、個人の競技力がベースです。合唱は集団芸術であり、より学級の総合力がためされることになると考えます。
 もちろんコンクールですから、勝ち負けにしっかりこだわった指導も重要です。2012年のNHKコンクールの課題曲はYuiの“fight”でしたが、勝ち負けも本当は大事なものだよ、というような趣旨の歌詞があります。本質を突いていると思います。

―本書で示されている「指導のポイント」で、ここだけははずせないオススメのポイントを3つ教えてください。

 強いて言えば、

  1. 誰に向けて歌うかを自分に問い続けること
  2. 音取りを徹底すること
  3. 毎日録音録画すること

でしょうか。
 1は基本的な姿勢に関わること。2は安心して思いきって歌えるために。3は修正のポイントを全員で共有するために、はずせないことです。

―音楽が苦手な担任教師でも、本当に優勝を目指して指導ができるのでしょうか。

 歌うのは子どもたちですからね(笑)。先生の苦手意識に関係なく伸び伸び歌うクラスも見たことがありますし。まあ、苦手だなあと思っている担任が40人集まって歌っても、きっとダメでしょうけど(笑)。担任がある程度自信をもって生徒の前に立てるということは、何にせよ大切なことです。

―逆に、音楽が好きな先生や得意な先生に対して、指導のポイントや注意点があれば教えてください。

 それはぼくにはとてもアドバイスできそうもありませんよ(笑)。
 ぼくが国語教師だからでしょうか、言葉の自然な流れを無視した過剰な表現や、日本語として聞こえてこない歌が、結構あります。日本語合唱は詩の解釈の問題が重要で、音を鳴らす、響きを美しくするということで解決できない問題を含んでいると思います。それは、校内合唱コンクールのような場では、ある意味最も顕著に表れると考えます。

―最後に、読者の先生方にメッセージをお願いします。

 これまでにも、合唱指導の技術を扱った本はたくさんあります。また歌わない子を歌うようにする学級づくりに焦点を当てた、いわば心情指導・支援の本もあります。でも両面からバランス良く丁寧に論述した本はほとんどありません。この本は、両面からのアプローチを図ることで、技術主義でも根性主義でもない、「学級の顔をした合唱」が生まれることを目指しました。合唱コンクールの指導が年々難しくなっている中ですが、すてきな歌声が会場に響く手助けができるとうれしいです。

(構成:杉浦)
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