著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
音楽授業が変わる?!子ども熱中の楽器づくりとは…
谷中 優
2006/5/12 掲載
 今回は音楽の授業に楽器づくりを取り入れている谷中先生に、新刊『10分でできる! 手作り楽器の作り方・遊び方アイデア集』について伺いました。

谷中 優たになか すぐる

1947年愛媛県生まれ。創造的音楽教育に関する理論と実践を早くから提唱し、多くの論文・レポートを表して評価を得る。コンピュータと手作り楽器のための作品「蒼い空の下に」など、創造的音楽教育の観点からの子どものための作品や教材も多い。
※写真は、私設コンピュータ音楽スタジオにて。

―谷中先生が手作り楽器の製作を始めることになったのはどのようなことがきっかけですか?

 初任の年のこと、中学生校たちが空き缶や空き瓶で音遊びをしている場面に遭遇したのがきっかけになりました。本書「おわりに」の項にも述べてあります。

―「子どもたちにとって必要であると思うからこそ実践する」という先生の信念がご紹介されていますが、手作り楽器の製作を音楽の授業に取り入れることにはどのような意義があると、先生はお考えですか?

 「もの」に働きかけることによって逆説的に「もの」から与えられるという、そういった活動のループこそ、現在もっとも必要とされている教育の一つの形ではないでしょうか。直接的に物に関わることでそこから多様な創造的な活動を生み出し、理解への道を歩むことのできる子どもたちが育つのだと思います。

―また楽器の製作は授業のどんな場面で取り入れると効果的でしょうか? 本書の活用方法とともにご紹介ください。

 本書にも述べたことですが、授業時間削減の現今では、楽器の製作作業を授業の中に組み入れることはかなり難しいことです。ただし音楽ではなく、図工や総合学習等の中で、他の先生方の理解や協力のもとに展開することは可能であると思います。

―本書で紹介されているのはどれもおすすめのものだと思いますが、特に子どもたちに人気のあった「手作り楽器ベスト3」はどちらでしょう?

 3点に絞るのは難しいのですが、あえて言えば次の3点です。
 クイーカ、レインスティック、パンフルート
 もう一つおまけに カホン 以上です。

―最後に全国の音楽を教える先生方へ一言お願いします。

 本書は、ただ単に手作り楽器の作り方を述べただけのものではなく、音楽教育における教育理念や方法論を織り込んだもので、手作り楽器の中でも自然と民族楽器を多く取り上げたこともあって、楽器を題材にした比較文化論にも言及した、創造的音楽学習の手引書としても考えられたものです。といっても、特別難しく考えたりするようなものではありません。楽しくやさしく読破できるものとして書かれています。
 ぜひご自身も取り組めるものから少しずつ取り組み、手作り楽器の楽しさや「良い音・好きな音」を体感してください。

(構成:木山)

コメントの受付は終了しました。