ハッピー先生のとっておき授業レシピ
“この教科の授業はこうでなくちゃ…”と決めてませんか? ハッピー先生がそんなあなたの授業観を大転換!
ハッピー先生の授業レシピ(9)
「つなぎ言葉」の指導で話し合う力を鍛える
子どもに求めるだけにならないように
大阪市立千本小学校教諭金大竜
2013/2/25 掲載

子どもに求めてばかりでは…

 特に、話し合いの場面で、子どもが板書しながら説明したり、友だちの意見を聞いて、子どもたち同士で考えをつなげ、意見を深めたりするところを見ると、“僕もこんなふうにできればええなぁ”と思うことが多くありました。
 そうして次の日、僕のクラスの子どもたちに、見てきた授業や子どもの様子を伝え、自分はほとんど指導せず、子どもに求めてばかり…ということもありました。はずかしいことに、それは一度や二度ではありません。

子どもを鍛える

 公開授業では、ゴールのイメージはもたせてもらえますが、そこに至るまでどのような指導をしたのかは見えません。でも、当たり前ですが、指導があったから話し合いも上手になったわけです。そのことに気付いてからは、僕自身も子どもを鍛える、子どもを育てるということを意識して取り組むようになりました。
 さて、どのように鍛えるのかを紹介する前に、みなさんに1つ考えていただきたいことがあります。それは、あなたの考える話し手に付けたいスキルと、聞き手に付けたいスキルです。これを自分で言語化し、いろんな人と比較するだけでも学びになります。自分たちで話し合いを深めていくためには、どのようなスキルが必要なのかをまずは自分自身で考えてみることが大切だと思います(このレシピを集めた本を出させてもらう予定ですが、そこには、僕の考えるスキルも紹介し、どのような順序で鍛えているのかも詳しく紹介したいと思います)。

つなぎ言葉ゲーム

 僕は、話し合いを子どもたち自身で深めていけるような力を鍛えるためには、下の表のような「つなぎ言葉」を習得させる必要があると思っています。

つなぎ言葉とその文型
言いかえる ○○さんの意見を言いかえると、…ということだと思います。
まとめる 今までの意見をまとめると、…だと思います。
つまり、…だということです。
例える …だと思います。例えば、…
比較する ○○と△△を比べると…
共通点を探す ○○さんの意見と△△さんの意見は、…が似ています(同じです)。
相違点を探す ○○さんの意見と△△さんの意見は、…が違います。
分析する …から考えてみると、…ということになります。
仮定する もし…だと考える(仮定する)と、…
仮説を立てる …だと考えられるので、…

 ただ、このような表を教室前に掲示し、「これを使うように!」と言ったところで、子どもたちが習得できることはありません。教師の指導なしでも大丈夫な教室内の数人だけが使えるようになって終わりです。
 ですから、掲示をしたら練習する時間も必要です。こんなとき、二人組でするつなぎ言葉ゲームがおすすめです。

A まず、自分の好きな食べ物を3つ言います。
B 「(好きな食べ物を)まとめると…ということですか」と尋ねます。
A 合っていれば合っていると、違うならどう違うのかを伝えます。

 こんなふうにちょっとしたゲームにして、子どもたちにつなぎ言葉をたくさんたくさん経験させます。やってみたらわかると思いますが、まとめたり、言いかえたりするのは、意識していないとなかなかできません。でも、こういったことを指導せず、子どもに求めているだけということが多いのも事実です。例えば、上のゲームで「自分の好きな食べ物」を「自分はどんな教師になりたいのか」に変えてみるなど、先生ご自身でもいろいろ試してみてください。

 次回は、説明文を様々な学習につなげるよさについて紹介します。

金大竜きむ てりょん

1980年生まれ。
「日本一ハッピーな学校をつくる」ことを夢みる、教師歴11年目の大阪市小学校教員。周囲からは“ハッピー先生”と呼ばれている。
教育サークル「教育会」代表。「明日の教室」をはじめ、各地のセミナーで講師を務める。
また、「あいさつ自動販売機」など、型にとらわれない個性的な実践が注目を集め、様々なメディアで取り上げられている。
ブログ「日本一ハッピーな学校をつくろう」において、日々の学級での出来事や実践を配信中。
2012年4月に、『日本一ハッピーなクラスのつくり方』(明治図書)を刊行。

(構成:矢口)
コメントの一覧
1件あります。
    • 1
    • 山崎良
    • 2013/2/25 19:31:18
    いつもありがとうございますm(._.)m
    ほんとに厳しい中で鍛え育てていく中で子どもたちに力がつくのですね!!もちろんその土台として愛情や子ども理解は大切ですよね☆
    今回も学ばせて頂いたことを子どもたちに少しでも返していけれるように日々頑張りますo(^▽^)o
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