5分でクラスの一体感をつくる!山ちゃんの 導入deボディパーカッション&ボイスアンサンブル
ボディパ教育考案者の山田俊之先生が、みんなの心が一瞬でつながる活動とスキルを伝授!
ボディパ&ボイス(8)
スムーズに進める秘訣は「説明なし」と「真似させる」
九州大谷短期大学山田 俊之
2022/1/15 掲載

動画1 親子ふれあい学習「リズムでコミュニケーション」の導入部分

時期:2021年12月
場所:福岡県内の小学校体育館
参加者:小学校中学年の児童と保護者
指導者:山田俊之
内容:リズム遊びやボディパーカッション、ボイスアンサンブルを用いて親子で楽しくふれあう活動を実施

なぜクラシック曲を使うの?

 本日ご紹介した動画は、前回に引き続き親子で楽しむレクリエーション活動の導入部分です。曲は、チャイコフスキーがバレエ音楽のために作ったバレエ組曲「くるみ割り人形」から第4曲「ロシアの踊り(トレパーク)」。「くるみ割り人形」は、組曲のうちの数曲が、小学校の音楽の教科書にも収録されています。
 親子で参加のレクリエーションにおいて、なぜクラシック音楽を使うと思いますか?
 たとえば、J-POPなどの現在ヒットしている曲というのは、みんなが知っているようなのですが、意外と年代が違うと全く知らないということも多いのです。一方、学校の給食の時間や掃除の時間、運動会などによく使用されるクラシック曲は、子どもたちもよく覚えていますし、保護者などの大人もよく知っていることが多いと思います。保護者の方々も、自分が小・中学校のときに耳にしていた、ということもあるかもしれません。また、おなじみのクラシック曲は、テレビのCMなどでもよく流れていることもあり、どんな世代でも親しみがあることが多いのです。
 ですので、異年齢の集団で導入にボディパーカッションを取り組もうという場合に、親しみのあるクラシック音楽を使うのはぜひおすすめです。
 ちなみに下記のクラシック曲は、私が行事などでよく使用する曲です。

アイネ・クライネ・ナハト・ムジーク(モーツァルト作曲)
トレパーク(チャイコフスキー作曲)
家路(ドボルザーク作曲)
ボレロ(ラベル作曲)
剣の舞(ハチャトゥリアン作曲)

冒頭の説明は一切なし!

 導入に活動を入れるときは、5分で完成させるつもりで取り組みましょう。そのため、楽譜の提示や細かい説明は一切しません。指導者自身がお手本になることが大切です。まずは実際にやってみせて、説明を入れるときは必ず短い言葉だけにします。
 知っている音楽の場合は自然と音楽に乗れますし、親しみあるクラシック音楽の場合はリズムも分かりやすいので、初めての人も、説明なしでお手本を見ながら一緒に取り組むことができます。
 今回ご紹介した動画のように、子どもたちだけでなく、その保護者の方々も参加される場合は、特に「うまくできる」ことより「スムーズに進行する」ことを第一に考えてください。
 動画の終盤では、走り回る子どもたちもいましたが、状況に応じて対応し、うまくできたかよりも、楽しんでいるかということを判断基準の一つとしましょう。
 ちなみに、今回ご紹介した「トレパーク」で使っているボディパーカッションの動きは、下記の4種類だけです。

  1. 手拍子
  2. 両手で軽くお腹をたたく
  3. 両手で軽くひざをたたく
  4. 足踏み

 このようにシンプルな動きでできているので、約5分であっという間にできます。ぜひお試しください!

導入を成功させるポイント

  1. 指導者は動作を大きくやって見せ、説明はできるだけ簡潔にします。
  2. リズムを分かりやすく示し、とにかく動作を真似させましょう。
  3. 音楽が鳴り始めたら、うまくできない人がいても気にせず進めます。

山田 俊之やまだ としゆき

九州大谷短期大学教授、福岡女学院大学非常勤講師(教職課程)。小学校、特別支援学校、九州大学(非常勤:教職課程)、九州女子短期大学(教授)勤務を経て現職。九州大学大学院博士後期課程修了(教育システム専攻)。
1986年小学校4年担任の時、ボディパーカッション教育法を考案し、現在まで活動を継続。
著書『ボディパーカッション入門』(音楽之友社)、『ボディパーカッションdeクラスづくり』『特別支援教育deボディパーカッション』『保育園・幼稚園deボディパーカッション&リズム遊び』(以上明治図書)他多数。研究テーマは「子どものコミュニケーション能力を高めるリズム身体活動」「ボディパーカッション教育」「特別支援教育」「発達障害支援」。
2005年ボディパーカッション曲「花火」が平成17年度「小学校音楽科教科書」(教育出版)に掲載。
2014年ボディパーカッション曲「手拍子の花束」が平成25年度「特別支援教育用教科書」(文部科学省編集)に掲載。

最近のボディパーカッション教育関連活動
2015年カンボジア教育支援を始め、2018年NHKBSワールドニュースで取り上げられる。
2017、2018年ウイーン国立歌劇場で作品発表。
2019年九州大学、国立音楽大学、広島大学学生合同のカンボジアスタディツアーを実施。
2019年ニューヨークカーネギーホールで作品発表。
2019年NHK「パプリカ」インクルーシブ教育プロジェクト「フーリン楽団」でボディパーカッション指導を行う。
この時、フーリンメンバーや様々なハンディ(聴覚、視覚、発達、ダウン症、自閉スペクトラム、小児がん他)の子どもたちへの指導に関わる。
コロナ禍のため、2020年大阪府立和泉高校の合唱に代わって「校内ボディパーカッションコンクール」を指導する。 

(構成:木村)
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