特別支援のツボ
完全実施から5年目の特別支援教育。毎月の学級で担任が注意すべきポイントをわかりやすくご紹介します。
【7月】指導のまとめをし、保護者とも繋がっていきましょう
全国コーディネーター研究会事務局長黒川 君江
2011/6/17 掲載

 「あ、あ、あと少し…」。7月を迎えようというこの時期、いつもそう思いました。そう、夏休みが近づくのです! 少し気持ちに余裕をもたせて、じっくり取り組むことにしましょう。より豊かな実践にしていくための、とっておきの期間ですから。

 最近は、個人面談などを、夏休み前や休み中に行う学校が多くなりました。この時期には、5・6月に行ってきた教室の気になる子への気付きや支援のチャレンジを振り返りながら、保護者との情報交換、協力関係づくりに努めましょう。今回は、「じっくり」がキーワードの「保護者との連携―パートワン」に焦点を当ててみました。

 さて、発達障害のある子の保護者達の立ち話をお聞きくださいね。

Aさん:個人面談が7月にあるの、気が重いわ。1学期トラブルが多かったから、何を言われるかと思うと。

Bさん:そうね、私は、いつも思うことの半分も言えなくて。帰りは、落ちこみながら帰るのよ。一度、箇条書きにしていったら、一方的な話し方になるし。

Cさん:そう、どう思われているかな、どこまで話したらいいかしらって、つかむのが難しくて、つまらないことばかり話して終わったりしてね。

Aさん:私は、聞きたいことも多いのだけど、次の人が待ってるのが気になって。待たせたら、それこそ私まで迷惑かけるみたいじゃない?

B・Cさん:そんな風に気にしたらおかしいよ!!

 私たち教師も緊張しますが、気になる子の保護者の気持ちは、また格別です。教師の側で、配慮できることを探しておきましょうね。

保護者が、事前に、質問・意見が伝えられように面談前アンケートを用意しましょう。
アンケートには保護者側からの質問や感じていることを予め書ける欄があるといいですね。
5・6月に把握してきた子どもの様子をポジティブにまとめておきましょう。
「先生はよく見ていてくれる」、「どうしたらよいかを考えてくれている」がポイントです。校内の協力も特別視としてではなく話せるように言葉を選びます。
大まかな話の流れを提示しましょう。
(全体に、1.挨拶、2.情報交換、3.まとめなど)
面談時間の配置に気を配りましょう。
その日の一番最後の面談にする、次の一コマを空けておくなど、できる範囲で調整しましょう。
笑顔でお迎え、笑顔で帰っていただくようにしましょう。
教師側が「味方」だと感じられる、次にも話したいと思えることが大事です。「次の方どうぞ」と、当日はとびっきりの笑顔でのお迎え。終わり方も明るく、必要なら次回を約束します。

 長い目で、一歩ずつ。気になる子の保護者との信頼関係は「継続」が命です。

黒川 君江くろかわ きみえ

全国コーディネーター研究会事務局長、元東京都文京区立小日向台町小学校通級指導学級主任。文部科学省研究開発学校研究主任(平成13年度〜15年度、特別支援教育)。主な編著書に、『教室から伝えたい特別支援教育』『特別支援教育コーディネーターの1年 小・中学校編』(いずれも明治図書)、『特別支援教育 早わかり』(小学館)などがある。

(担当:木山)
コメントの一覧
1件あります。
    • 1
    • 板二小今井
    • 2011/6/21 18:37:32
    黒川先生、早速拝見させていただきました。いろいろな情報発信の仕方があるのですね。先生の多角的な取り組みに脱帽です。日々の指導に加え、暑さにも参りそうな毎日ですが、先生の文章を拝読し、笑顔で爽やかに過ごそうと思いました。これからもよろしくお願いいたします。
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