著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
新学習指導要領を読み解き、学習評価につなぐ
茨城大学教育学部教授新井 英靖
2021/8/4 掲載

新井 英靖あらい ひでやす

茨城大学教育学部教授
東京学芸大学大学院教育学研究科修士課程を修了後、東京都立久留米養護学校教諭を経て、2000年より茨城大学教育学部講師となる。2011年に博士(教育学)の学位を取得し、現在、同学部教授。

―本書のテーマは「学習評価」。前著『特別支援学校 新学習指導要領を読み解く「各教科」「自立活動」の授業づくり』とあわせてもっていただきたい1冊で、いずれも学習指導要領の考えを読み解き具体化くださっています。まず、おさらいのようになりますが…、このたびの特別支援学校学習指導要領のポイントはどこにあるでしょうか。

 今回の学習指導要領のポイントは、「育成を目指す資質・能力」を明確にして、授業を実施し、評価することが求められているという点です。特に、インクルーシブ教育を推進するために、特別支援学校の教育課程を通常教育の教育課程と連続させ、教科学習を中心に展開していくように改訂された点が大きなポイントです。

―特別支援学校の先生方は学習指導要領をもとに指導と評価をどのように変えていく必要があるでしょうか?

 知的障害児に対する授業では、これまで「生活に必要なスキル」を身につけていくことが目標となっていましたが、今回の学習指導要領では、「国語」や「算数・数学」などの教科学習を教育課程の中心に据え、「教科の見方・考え方」を働かせるべく指導と評価を変えていく必要があります。

―「指導と評価の一体化」が重要であると言われていますが、どのようなことに留意して特別支援学校で指導−評価していくべきでしょうか。

 本書では、学習評価の方法を解説した上で、特別支援学校学習指導要領に掲載されている国語と算数・数学の目標をもとに、評価規準の例を体系的に示しています。その上で、特別支援学校の教科学習の指導事例を示し、その授業の評価例を具体的に示しましたので、この本を読むだけで指導と評価をどのように連動させ、一体化させればよいかが理解できます。

―本書をぜひ校内研修等でもご活用いただけたらと思いますが、評価について学ぶことでどのようなことを先生方に身につけていただくことができるでしょうか。

 本書では、国語と算数・数学に関して、子どもの発達の「段階」に応じた評価規準を示しています。これは裏を返すと、この本を読むと知的障害児の発達の過程が理解できるということでもあります。校内研修では、単に「評価規準」の例を学ぶのではなく、評価規準をもとに子どもの実態を把握し、発達段階に応じた指導目標を検討する研修を各学校で行っていただけるとよいと考えています。

―最後に…特別な支援を必要とする子どもにかかわられる先生方へのメッセージをお願いします。

 今回、改訂された学習指導要領は、特別支援学校の教育実践を大きく転換させる必要がある内容となっています。さまざまな改革が迫られ、どこから着手していけばよいか悩むところですが、授業づくりを軸に一歩ずつ、授業改善を進めてください。

(構成:佐藤)
コメントの一覧
3件あります。
    • 1
    • 塚越浩和
    • 2021/8/30 16:31:22
    「特別支援学校の教科学習の指導事例を示し、その授業の評価例を具体的に示しました」とありますが、1章の理論編と食い違っているのではないかと思う部分があります。「指導と評価の実際」の表ですが、授業時の評価が「評価規準にそった」となっていますが、1章に従うと「評価基準にそった」となるのではないでしょうか。また「学習単元の評価」の枠組みが「主体的な学び・対話的な学び・深い学び」になっていますが、なぜ「知識技能・思考判断表現・学びに向かう力」ではないのでしょうか?
    • 2
    • 新井英靖
    • 2021/9/13 15:57:27
    コメントに投稿していただき、ありがとうございました。執筆者より、コメントに寄せられた疑問についてご返信いたします。

    ご指摘いただいて点については、わかりにくい表現になっていて大変申し訳ございません。ご指摘いただいた2点について、以下のようにご理解いただけるとありがたいです。(以後、2つに分けて送信いたします)

    1)「指導と評価の実際」の表のところで、授業時の評価が「評価規準にそった」となっているのは、「目標=評価規準」の項目に記された内容を中心に、どのような姿がこの授業のなかで見られたか?という点をエピソードで記述したということです。ご指摘いただいた「評価基準」に対する評価を記述する場合には、もっとシンプルに「できたかどうか」ということを記述する形になりますし、前のページに挙げた評価の視点をすべて列挙するように記述していくことになると思います。今回は、「授業時に見られた子どもの姿」をエピソードで記述しようとするときに、「評価規準」を念頭において書き記したという意味です。
    • 3
    • 新井英靖
    • 2021/9/13 15:58:50
    上記のコメントに続けて、二つ目の疑問について回答いたします。

    2)「学習単元の評価」のところに、「主体的・対話的で深い学び」の観点を記載したのは、この箇所で「主体的な学び」を評価しようとしているのではなく、この単元を通して子どもはアクティブ・ラーニングの学びの過程である「主体的・対話的で深い学び」を満たしているということを表現したかったからです。こうした学びの過程をふまえて、単元の評価をエピソードで記述しています。そのため、この記述のなかに、「知識および技能」や「思考力・判断力・表現力等」「学びに向かう力、人間性等」に関する評価が含まれるように執筆しています。つまり、この欄は現在の学習指導要領で求められている「主体的・対話的で深い学び」を実現する授業づくりのなかに、「知識および技能」や「思考力・判断力・表現力等」「学びに向かう力、人間性等」の評価があるということを表現したかったということです。

    今回は紙面の都合で以上のような執筆者の意図が十分に伝わらない記載になっていました。ご指摘いただき、ありがとうございました。
コメントを投稿する

※コメント内ではHTMLのタグ等は使用できません。