- はじめに
- 本書の特徴と活用の仕方
- 参考文献資料の表記(略称)について
- 第1章 総則編
- 1 「主体的・対話的で深い学び」と授業づくり
- [実践]小学部 算数科 学習指導案@
- [実践]小学部 算数科 学習指導案A
- 2 育成を目指す「資質・能力」と授業づくり
- [実践]中学部 生活単元学習 学習指導案
- 3 カリキュラム・マネジメントと授業づくり
- Q 「社会に開かれた教育課程」と「カリキュラム・マネジメント」はどのように関連しているのですか?
- 第2章 各教科等編 ―各教科に共通する改訂のポイント―
- 1 各教科の目標・内容と授業づくり
- [実践]小学部 国語科 学習指導案@
- 2 各教科の指導と評価
- [実践]小学部 国語科 学習指導案A
- 3 学習指導案の立案と授業づくり
- Q 各教科の目標と内容が小学校・中学校の学習指導要領との連続性をふまえて改訂されたのは,インクルーシブ教育の推進と関係があるのですか?
- 第3章 各教科等編 ―各教科の授業改善のポイント―
- 1 国語の授業づくりのポイント
- [実践]中学部 国語科 学習指導案
- Q 小学校の国語では「話すこと・聞くこと」となっているのに,なぜ特別支援学校では「聞くこと・話すこと」となっているのですか?
- 2 算数・数学の授業づくりのポイント
- [実践]小学部低ブロック(2年生) 算数科 学習指導案
- Q 算数・数学の「学びに向かう力,人間性等」のイメージがわきません。どのように考えればよいでしょうか?
- 3 生活科(理科・社会科)の授業づくりのポイント
- 4 美術科・音楽科の授業づくりのポイント
- [実践]小学部(低学年−1・2・3年) 音楽科 学習指導案
- [実践]中学部 美術科 学習指導案
- 5 職業・家庭科と作業学習の授業づくりのポイント
- [実践]中学部 職業・家庭科 学習指導案
- 6 体育科の授業づくりのポイント
- 7 残された実践課題―特別の教科・道徳/外国語活動
- Q 小学部1段階と中学部1段階はどのように違うのですか?
- 第4章 自立活動編
- 1 自立活動の授業がなぜ必要なのか?
- Q 小学部から中学部・高等部へと学年が上がるにしたがって,自立活動の目標や内容をどのように変化させていくとよいのですか?
- 2 実態把握と指導課題を設定するプロセス
- 3 自立活動の内容と授業づくり
- Q 自立活動の「人間関係の形成」と「コミュニケーション」の違いは,身体的にやりとりするか,言語的にやりとりするかの違いですか?
- 第5章 今後の新しい授業実践を創造するために
- 1 新しい学習指導要領に基づく特別支援教育の授業づくりの課題
- 2 「資質・能力」の育成と授業づくりに関する留意点
- 3 「学びに向かう力,人間性等」を評価することはできるか?
- 4 小学校・中学校との連続性を意識した授業づくりの課題
- 5 今後の新しい授業づくりに向けて
はじめに
学習指導要領が改訂されたから,全ての授業を新しくしなければならないというものではありません。その一方で,新しい学習指導要領に示されているポイントをふまえてこれまでの教育実践を見つめ直し,時代に即した授業づくりへとリニューアルしていくことは必要です。
本書は,平成30年3月に出された特別支援学校学習指導要領解説(総則編,各教科等編,自立活動編)をもとにして,そこに記述されていることのポイントを解説するとともに,筆者の捉え方(読解)を織り交ぜて,今後の授業づくりの方法について述べたものです。
そのため,本書では,新学習指導要領の評価や課題などを中心に論じるのではなく,数百ページにも及ぶ新しい特別支援学校学習指導要領解説の重要部分をできるだけ忠実に読み解き,日々の授業にどう生かすのかという点を丹念に論じています。
もともと日本の学習指導要領は,「法規としての性格を有するもの」とされていますので, そこに記述されている内容から大きく逸脱した教育実践を展開することは許容されません。しかし,その一方で,学習指導要領は,「教育の内容等について必要かつ合理的な事項を大綱的に」示すものであり,「各学校における指導の具体化については,学校や教職員の裁量に基づく多様な創意工夫を前提としている」とも書かれています(解説総則編,p162)。
これは,学習指導要領の「基準性」と呼ばれるものです。すなわち,「学習指導要領に示している内容は,全ての児童生徒に対して確実に指導しなければならないものであると同時に,個に応じた指導を充実する観点から,児童生徒の学習状況などその実態等に応じて必要がある場合には,各学校の判断により,学習指導要領に示していない内容を加えて指導することも可能である」と解説されています(解説総則編,p162)。
本書は,こうした「基準となるべき学習指導要領」のポイントを解説するとともに,「創意工夫の中で」授業を考案できるようにするための情報を加えて1冊の本に編集したものです。つまり,「ルールブックとしての学習指導要領」と「実践のヒントとなる情報源としての学習指導要領」という両面を意識して,今後の特別支援教育の授業づくりの方向性を指し示すことを目的とした本であるということです。
本書はこうした意図で編集されたものですので,主として,
・今回の学習指導要領はこれまでの学習指導要領と何が違うのか
・特別支援学校と小学校・中学校の学習指導要領はどのように連続していて,どこが特別支援教育の特徴なのか
という点を,できる限り明確にできるように整理して示すことに多くの紙面を割きました。
そのため,今回,改訂された特別支援学校学習指導要領だけを取り上げて解説するのではなく,平成21年に出された特別支援学校学習指導要領解説や,今回の改訂を方向付けた平成28年の中央教育審議会答申についても適宜,引用し,比較しながら記述しました。また,小学校や中学校の学習指導要領解説と有機的にリンクさせて,今回の特別支援学校学習指導要領改訂のポイントをより鮮明にイメージできるように編集してあります。
ただし,本書では特別支援学校学習指導要領と実際の授業とを結び付けることに主眼を置きましたので,学校運営に関する項目についてはほとんど取り上げていません。この点については今後の課題とさせていただければと思っております。
特別支援教育に限らず,授業づくりというものは日々,改善の繰り返しです。新しい学習指導要領が改訂されたことを契機に新しい授業のかたちをさらに模索していき,子どもたちが楽しく,伸びる授業を追究していきたいと考えています。
2018年8月 編著者 /新井 英靖
学生なので値段が高いと感じてしまった、
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