著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
「音読を“指導”している」と、自信をもって言えるようになろう
川崎市立はるひ野小学校土居 正博
2021/6/25 掲載
 今回は土居正博先生に、新刊『クラス全員のやる気が高まる!音読指導法―学習活動アイデア&指導技術―』について伺いました。

土居 正博どい まさひろ

1988年,東京都八王子市生まれ。創価大学教職大学院修了。川崎市公立小学校に勤務。国語教育探究の会会員(東京支部)。全国大学国語教育学会会員。国語科学習デザイン学会会員。全国国語授業研究会監事。教育サークル「深澤道場」所属。教育サークルKYOSO’s代表。『教師のチカラ』(日本標準)編集委員。
著書・編著書に、『クラス全員が熱心に取り組む!漢字指導法』『1年生担任のための国語科指導法』『新卒3年目からグイッと飛躍したい!教師のための心得』『初任者でもバリバリ活躍したい!教師のための心得』『新任3年目までに身につけたい 困った場面をズバリ解決!指導術』(いずれも明治図書)など多数。

―『音読指導法』のお話の前に…シリーズ前著『クラス全員が熱心に取り組む!漢字指導法』についてぜひお伺いさせてください。多くの先生方にお読みいただき、そしてご実践をいただきましたね!

 まずこの場をお借りして、『漢字指導法』をお読みいただいた先生方に感謝申し上げます。ありがとうございました。正直、こんなに多くの方にお読みいただけるなんて、予想以上でした。発売から2年以上経ちましたが、今でもTwitterやFacebookのDMで「子ども達が変わりました!」とか「テストの点数が驚くほど上がりました!」というご報告を数多くいただきます。「漢字指導」という、当たり前のようにどの教室でも行われていることに対して、先生方がどれほどお困りだったかがよく分かりましたね。何より、ほんの数年前まで私もその一人だったわけですしね。
 そして、今回は「音読」です。音読は漢字と並んで重要な基礎学力の一つです。その影響は国語科という枠に留まりません。「漢字指導」が有名になってしまいましたが、土居学級の子ども達が年度末に楽しかった授業として口にするのは、実は「漢字」よりも「音読」の方が多いのですよ…ぜひぜひ、本書にご期待くださいね!

―あの「漢字指導法」以上に子どもが夢中になる土居学級の「音読」、ますます気になります…! 音読って、当たり前のようにどの教室でもやっていることだと思うのですが、そもそもどうして土居先生は音読に着目されたのでしょうか?

 “音読の重要性に気付いたから”です。
 私は「読むこと」の指導法について大学院時代から研究を重ねてきていました。ですから、現場に出た後は、どうしたら子ども達の読みが深まるか、ということばかり考えていました。しかし、それはある側面から見ると、読む力が高い子だけを満足させるものだったかもしれないと気づいたのです。音読の指導はほとんどせず、音読カードを渡して家での宿題に任せきりでした。その結果、授業ではいわゆる賢い子達から深い意見が出るのだけれど、市販テストではかなりできない子もいるというような状況になってしまいました。
 そもそも、音読する力は読解力の基礎となる力です。しかし、私はそれを全員に保障せずに高度な内容ばかり扱っていたのです。それでは格差は広がるばかりです。このようなことに気付いた私は、音読指導をしっかりするようになりました。すると、子ども達は大きく変わりました。音読はしっかり練習すれば、基本的に誰でもできるようになります。全員がスラスラ音読できるようになることで、深い読解の授業でも活躍できる子が増え、テストの結果も全体的にさらによくなりました。しかも、全員が成長できるので、読むのが苦手な子達も学習に対して自信をもち、その姿勢も変わりました。
 このように、音読は子ども達の読解力の基礎となる力を保障し学力を上げるだけでなく、自信をつけさせ学習への姿勢も高めることができるくらい重要だということに気付き、その指導法を改善していくことに着目するようになりました。

―本書で紹介されている音読の指導技術は、指導法自体が難しいわけではありませんが、実際にやってみると、きちんと練習をしておかないとうまくいかないなぁということが多かったです。土居先生は、どのくらい音読練習をするのでしょうか?

 もちろん音読練習はします。しかし、本書にも書きましたが、演技のような音読(朗読)ができるまでは必要ないと考えています。そこまで全員の子どもに求めるわけではありませんし、現場の先生方がそこまで音読だけに労力と時間を割くことはできないと思います。本書で紹介している音読は、あくまでも全員の子どもに求めていくことですので、大人である教師は本気になって練習すれば必ずできるようになります。最初は、子どもに求める音読のレベルを目指して教師がしっかり練習しておけば十分です。安心してくださいね。

―本書では、子どもたちのやる気を引き出す活動を多数ご紹介いただいていますが、なかでもおススメの活動を一つだけ、教えてください!

 そうですねぇ。「推理音読」ですね。本書では、意味のまとまりで区切って読む「意味句読み」を重視しています。その意味句読みを定着させるための活動の一つです。一人が自分の考える意味のまとまりで区切って読みます。それを他の子は聞いていて、「どのように区切っているか」「なぜそのように区切ったか」を推理していきます。音読というと、単純に読み上げることをイメージしがちですが、この活動では読解力も試されます。子ども達は深く考えることになり、音読に対するイメージも変わりますよ。
 他にもたくさん紹介していますので、ぜひ本書をご覧ください!

―最後に、読者の先生方にぜひ一言メッセージをお願いいたします。

 本書では、子ども達に「させるだけ」になりがちな音読指導を理論面からも見つめ直しています。音読指導をしない小学校教師はいないはずです。それなのに、確固たる自信をもって指導している教師は非常に少ないと思います。音読力は、子ども達にとって非常に重要な力です。ひょっとすると、漢字力よりもより基礎的で重要かもしれません。感染症対策をしっかり講じながらも絶対に育てていきたい力です。
 音読指導は、力を入れれば確実に成果が出ます。ぜひ本書を武器に、先生方も音読指導に自信をつけていただき、子ども達の力を伸ばしていってください!

(構成:林)

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