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教師が教えたい内容を子どもが学びたいものにするための工夫が満載です。また、子どもたちに疑問、葛藤、対立や矛盾を生じさせ「思考・判断」を揺さぶり「見方・考え方」が身につく事例が多数紹介されています。すべて追試可能な題材です。授業づくりのノウハウを読み取ってください。
「予測困難」な社会に対する考えや、行動が問われています。「コロナ」学習は「正解のない学び」であり、「活用力」「探求力」を鍛えます。また、授業づくりには「切実性」「当事者性」が不可欠です。コロナ禍では、すべての児童・生徒が、ニュースや新聞を読み解き「体験・思考」する日々を過ごしています。コロナを「切り口」とした学習は、「社会科教育」そのものです。「コロナをチャンスに!」
明治図書「教育ZINE」に掲載した「『コアラのマーチ』から考える地球温暖化とCSR」は、「コアラ」の減少を、都市化、森林火災から考える授業です。地球温暖化をはじめ、オーストラリアの地理的条件(乾燥帯)が森林火災の背景にあります。そして、ロッテの「コアラ基金」というCSRに触れ、私たちの行動を問い、“消費は投票”であることを学ぶ授業です。「チョコレート」「紅茶」「衣服」「街の本屋」など身近なことが社会のしくみと繋がっていること、私たちの行動が社会を変えることを体感することが「主権者教育」には不可欠です。
本書には、多様な「プラスαの展開例」が紹介されています。世界の自然を、映画「アナと雪の女王」などを切り口に授業をしたり、ジェンダーについて既存の曲の「歌詞を変える」取り組みなど、意欲を喚起するヒントが満載です。また「インタビュー」により多様な価値を獲得する方法、「思考ツール」を使い「移住キャンペーンを作成しよう」など発信型授業も提案しています。
本書は私が大学で教えた卒業生をはじめ、研究会などで知り合った20〜30代の先生方を中心に執筆されたものです。授業の発想はもちろん、動画、パワポ、思考ツールなど、様々な教育機器や授業方法に“若い”息吹を感じます。確実に進行している「学力格差」。教育社会学からの問題提起は行われていますが、授業論からは皆無です。「だれ一人取り残さない」授業が広まることを願うばかりです。
