たいち先生直伝!新任教師のためのインプット&アウトプット術
教育系YouTuber「たいち先生」こと深見太一先生が、教師の成長に不可欠なインプット&アウトプットの秘訣を伝授!学びの効率をグンと上げるアイデアを紹介します。
新任教師のためのインプット&アウトプット術(12・最終回)
インプット・アウトプットで目指すこと
LCA学園グループ 瀬戸SOLAN小学校深見 太一
2021/5/5 掲載
  • インプット&アウトプット術
  • 教師力・仕事術

 本連載もついに最終回。最後に、改めていま、「インプット」「アウトプット」で目指すべきことについて、考えていきましょう。

なんのために行うのか

 なんのためにインプット・アウトプットをするのか。言うまでもなくそれは、自分自身の成長に繋がるからです。
 小学生の子どもたちは、週5日、毎日6時間インプットとアウトプットを繰り返しています。しかし、それに見合った努力と成長を、教師である自分ができているかと問われると、真っ直ぐに「はい!」とは言えない自分がいます。ではどうしたら良いのか。自分のできる範囲でいいので少しずつ力を伸ばしていく、それだけではないでしょうか。

ファスティングから学んだこと

 2月の終わりに3日間水分しか取らないファスティングに挑戦しました。「食」も言ってみればインプットとアウトプットの繰り返しです。今までただなんとなく選んでいた食事に対して、一度立ち止まってしっかり考えてみようと思ったのです。3日間は非常に辛く、家族が食べている食事をつまみ食いしたいと何度も思いました。けれども、一度胃と腸を空っぽにしてとことんお腹が空いた状態を作ってみると、必要なもの以外いらないことに気がつきました。今までは、不必要にお菓子やコーヒーを摂取し、本能の赴くままに行動していたけれども、一つの食事に対しとことん考え、何が身体に合っているか、今必要なものは何かを考えるようになりました。

 これは、子どもたちの学びにとっても同じで、たくさんやれば良い、時間を長くやることが良いという学習観から脱却を図れるなと感じました。今必要な学びはなんなのか、本当に学びたいと思っているのか、これを学ぶことで子どもたちにとってどんな意味があるのか、そういったことを先生と子どもが一緒になって考えることで、きちんと消化して、昇華できる学びを提供できるのではないでしょうか。

情報が溢れているからこそ

 教師にとっても今は情報が溢れています。SNSを開くと、次々とキラキラした実践が流れてきます。あれをやったら子どもが成長するかもとか、今必要なのはあの力かもしれないとか、ホンモノを見つける力が試されています。一時期、自分も毎週のように講座に出ては、新しい実践を試していました。けれども、たくさんやれば良い、いろんなものを試せば良いというわけではなく、食事と同じように今必要なもの、体が欲しているものを見つけて行う。子どもたちの反応を見ながら、必要なものをおろしてみる。時には、新しいものを入れるのをやめてみて、子どもたちをじっくり見る・観る・視る。そんなことを繰り返し行うことで、本当に必要なものが「キラーン」と見つかることもあります。
 …と言いながらも、インプットを変えなければ、アウトプットは変わりません。今までのままインプットを続けていると、出てくる成果は変わりません。だからこそきちんと見分ける目をもち、良質なホンモノを取り入れるようにしましょう。

アウトプットをさらに向上するために

 アウトプットについては、繰り返し練習するだけです。繰り返しと言っても、ただの作業にしてしまってはもったいないです。漢字を覚えるときに、何ページもノートをただ書いていても中々覚えられません。反対に、絶対に覚えると思いながら5回書くだけで頭に入ります。意図と想いをもってアウトプットすることで、共鳴・共振してくれる方が出てきます。
 良質なホンモノをインプットする、意図と想いをもってアウトプットする。これを何度も繰り返すことで、驚くほど成長することができ、出会える人も変わってきます。

 先生が成長していると、同じように子どもも成長していきます。いい監督がいるチームが強くなるように、いい教師がいるクラスは笑顔あふれる素敵なクラスになっていくのです。いい教師という極めて曖昧な表現をしましたが、その一つの要因として、良質なインプットとアウトプットを繰り返しているということが挙げられると思います。

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ゴールの姿をイメージしながら

 クラスに置き換えて考えてみましょう。4月・5月は先生から子どもへのインプットが多くなるでしょう。終わりの2月・3月には子どもから先生や周りの人へのアウトプットが多くなるでしょう。中間の6月〜1月の過ごし方として、少しずつ教師が手を離し、子どもたちが自分たちでアウトプットしていける状況を作っていきます。「自分たちでできる!!」と感じた子どもたちはその後、担任の手が離れてもどんどん伸びていきます。「これが楽しい!」と感じることができれば、大人になっても学び続けることでしょう。その状況を作り出すことができればしめたものです。今回のテーマである、インプットとアウトプットを何度も横断し、勝手に成長していける子を育成することができます。もっというと、先生が本当は育てるなんてことをしなくても、子ども本来の姿に戻すことができれば、自然とその状況を生み出すことができるでしょう。

最後に

 1年間、計12回いろいろな側面からインプット・アウトプットについて書かせていただきました。私自身非常に学びが多く、一番成長させていただいたと思っています。本当にありがたく感謝しています。12回の連載を通じて、皆さんのヒントになるものが少しでもあったなら幸いです。先が暗いとか将来が心配だとか言われている教育現場の状況ですが、自分は決して悲観していません。特にこの1年で出会った仲間たちは、本気でより良い教育を作り出していこうと動いています。自分の感覚を信じて、明るい日本のため、自分のできることを楽しみながら共に進めていきましょう。

今月のポイント

  • 子どもの成長に見合った成長を教師もできているか
  • 良質なインプットと想いを持ったアウトプットの繰り返し
  • 子どもと自分のゴールイメージを想像してみよう

深見太一ふかみたいち

LCA学園グループ瀬戸SOLAN小学校所属。
愛知県の公立小学校教員を13年経験した後、現職となる。クラス会議を世の中に広め、日本を幸せ大国に・日本の自殺をゼロにするというミッションを掲げて活動中。著書に『対話でみんながまとまる!たいち先生のクラス会議』がある。
教育系YouTuber「たいち先生」としても活動、チャンネル登録は1300人を超える。Twi tterでも教育関連のツイートを発信、フォロワーは7000人を超える。
著書に、『対話でみんながまとまる!たいち先生のクラス会議』(学陽書房)、『教職1年目の働き方大全』(明治図書、共著)など。
●YouTube たいち先生「日本中の先生を勇気づけたい」
https://youtu.be/X7Z_iYNh4qs
●ブログたいち先生の学級経営
https://fcrown.fun/

(構成:大江)
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