子どもの心と体のホンネに向き合う スーパー養護教諭の仕事術
保健室で生まれる「子どもの心と体」に関するお悩みを、スーパー養護教諭が一気に解決! 毎月の具体的な事例に基づいて、すぐに役立つ対応のアドバイスを伝授します。
スーパー養護教諭の仕事術(6)
攻撃的な言動が多い子どもへの対応
静岡県沼津市立大岡小学校養護教諭中村 富美子
2019/11/15 掲載

今月の相談

 小学校1年生のユウタさんは、ちょっとしたことで怒り、興奮してしまいます。担任の先生からは、教室で興奮したときは「クールダウンのために保健室を利用させて」と言われています。来室時は私の顔を見るなり「クソババア」「うるせー」など暴言オンパレード。私もカッとなり「いい加減にしなさい」と言い返したら「死ね」と言って暴れ倍返しでした。うまく対応できない自分に落ち込みます。ユウタさんは興奮が収まり、廊下で出会うと、「保健室の先生」と言って寄ってきて可愛いところもあるのですが…。私はどうしたらよいでしょうか。

スーパー養護教諭のアドバイス

1自分の気持ちを認めよう

 「死ね」と言われたら誰だって嫌な気持ちになります。暴言、暴力を受ければ、恐怖や怒り、そして悲しみの気持ちが湧いてくるでしょう。そのとき、自分の中に湧いてくる気持ちに良いも悪いもありません。当然のことです。むしろ、養護教諭は専門職なんだからドーンと構えなくては、と考える真面目さがあなたを追い込んでいるのでしょう。

2他の人に話そう

 担任の先生もあなたをユウタさんを支援するチームの一員として認め「クールダウンの場」としているのだと思います。職場で頼りにされているあなたはすでに立派な養護教諭です。
 しかし、1人で抱え込んではいけません。今の気持ちを職場の同僚や管理職に話しましょう。攻撃的な言動を受けることはとても疲れるものなのです。さらに落ち着いているときは可愛いユウタさんですから余計にあなたを混乱させます。うまく対応できないとあなたは自分を責めてしまうかもしれません。時には、「私には無理です」「私は今日○○と言われて傷つきました」…そんな弱音も吐いてみましょう。周囲の人はあなたを「よくやっているね」とねぎらってくれるはずです。

3愛着の不全があるのではないかと想像してみよう

 ユウタさんは過去に辛い出来事があったのではないか、親から攻撃されるような養育を受けてきたのではないかと想像すると、ユウタさんの気持ちが見えてきます。ユウタさんは「周りが全員、敵」と考えていて、いつでも攻撃体制なのです。あなただけを攻撃しているのではありません。
 私も興奮しやすい子どもに「クソババア」と挨拶がわりに言われます。私は、アラフィフですから、「『ババア』は正しい、でも『クソ』は嬉しくないなー」と言って笑い飛ばします。あなたもきっとアラフィフになれば言えるようになります。
 今は笑い飛ばす余裕がなくても大丈夫。冷静なときに出会って「おはよう」、「おはようございます」の挨拶が成立したとき、めちゃくちゃ褒めればいいのです。「おはようを返してくれて嬉しい、ありがとう、立派、さすが」など褒め言葉のオンパレードです。攻撃的でないときの自分を認めてもらう経験を根気よく蓄積させていけば、少しずつ攻撃的な言動が減っていくこともありますよ。

今月のまとめ

 クールダウンの場として機能する保健室。素晴らしいですね。ですが、困難で疲弊が伴う支援であることは間違いありません。あなたは職場で自分の気持ちを開き、ねぎらってもらいましょう。自分が疲弊しないことが大事です。

中村 富美子なかむら ふみこ

静岡県沼津市立大岡小学校養護教諭。
養護教諭の仕事の指標化とスキルアップを目指して、スキルラダー研究会(SLIPER)を主宰している。
修士(カウンセリング)、博士(看護学)。

(構成:小松)
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