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本当に分かる発達障害 −きほんのきから学ぶ−
開催地域
神奈川県
日程
2019/7/20
主催
神奈川LD協会(公益社団法人神奈川学習障害教育研究協会)
講師
宮本信也先生(白百合女子大学発達心理学科 教授 ・ 小児科医)
参加対象
小学校/中学校
ジャンル
特別支援教育
7月20日(土) ★セミナーコード101★ / 研修室121−123(12階) きほんのき講座


本当に分かる発達障害 −きほんのきから学ぶ− 


10:00-11:15 講義1 発達障害とは −特性は障害ではありません−
11:30-12:45 講義2 発達障害の種類 −大きく6つの種類があります−
13:45-15:00 講義3 発達障害への支援 −言葉の配慮が大事です−
15:15-16:30 講義4 発達障害の成因 −病気?個性? どちらでもありません−


Invited Speaker 宮本信也先生(白百合女子大学発達心理学科 教授 ・ 小児科医)


宮本先生からのメッセージ

 「発達障害(今は、医学領域では神経発達症と呼ばれます)」という用語は、今では、子どもと直接関わっていない人たちにもよく知られるようになってきました。最近では、大人の発達障害に対する関心も高まってきています。それでは、発達障害とは一体何なのでしょうか?『発達障害とは何ですか?』と尋ねられたとき、ADHDや自閉症、学習障害(LD)などの個々の名前をあげられても、 そうした発達障害全体に共通する発達障害の特徴を述べることは案外難しいのではないでしょうか。

 ところで、何か問題があると、私たちは、原因は何だろうと考えがちです。原因が分かれば、対応方法も分かる、考えやすいと思っているからです。実は、「発達障害の原因」については、まだほとんど分かっていないというのが本当のところです。でも、分かっていないところは分かっていないままにして、発達障害の成り立ちを考えることはできます。

 私は、発達障害は、社会との関係性の中で考えると、その成り立ちが理解しやすくなると考えています。そして、そうした視点に立つと、発達障害の多くは、単純に病気としてとらえることも、個性としてしまうのも、どちらも適切ではないことが理解され、そこから、発達障害とはそもそもなんなのだろうということを考えることができるようになるとも考えています。
 
 今回のセミナーでは、医学の分類を基に、個々の発達障害の特徴について解説します。全体の解説の後、自閉スペクトラム症(ASD)を取り上げ、その特徴について少し詳しく説明したいと思います。発達障害の中では、ASDの人たちが、もっとも多様な問題を生じやすいと考えているからです。例えば、ASDの人たちは、状況理解が苦手、場に合わない言動が多いと言われます。その本当の原因、脳の働きの問題はまだ分かっていませんが、そうした状況が生じる背景要因、つまりは、状況理解が苦手とはどういうことなのかということを考えることはできます。そして、背景要因が分かれば、望ましい対応も考えやすくなってくると思います。

 セミナーの後半では、発達障害の特性を踏まえた支援の考え方について解説を行います。そして、最後に、発達障害を状態像と見なす考え方を紹介し、『発達障害とは何ですか?』という問いかけにあらためて答えたいと思います。

【宮本信也先生のプロフィール】青森県弘前市出身。金沢大学医学部卒業。医学博士。自治医科大学小児科入局、同助手、講師を経て、筑波大学心身障害学系助教授、教授、附属聴覚特別支援学校校長、附属特別支援教育研究センター長、副学長を経て、2018年4月より現職。専門は、発達行動小児科学。子ども虐待への対応、ASDへの対応、小児心身症への対応を中心に臨床研究活動を展開している。趣味は、山歩きと日本各地の銘酒巡り。『アスペルガー症候群・高機能自閉症の本−じょうずなつきあい方がわかる』(主婦の友社)等著書・論文多数。