
- 教育オピニオン
- 授業全般
職員室を見てみると、ずいぶんと若い先生が増えたなぁと感じます。我々世代は、現在ミドルリーダーとして各校の中核を担うポジションになってきました。また、これまで現場を引っ張ってきてくださった、いわゆるベテランと言われる先生方の数がどんどん少なくなってきています。世代間交流、そして、引き継ぎが急務になっていることは、全国的な学校での課題となってきているのではないでしょうか。
今年度、新採用の先生や若手の先生と学年を組み、子どもたちと生活し、学級経営している先生方は少なくないはずです。そんな中で、素材研究から始まり、教材研究を行い、授業研究を重ね、日々実践しています。しかし、現実問題として、校務分掌上の仕事で出張に行かなければならなかったり、学級内でのトラブルの対応に追われたりと、なかなか授業の準備をする時間が取れないのではないでしょうか。
私が、ここ2〜3年で考えることは、「ベテランの方々が勤務されている間に、あらゆる教育技術や学級経営の方針や考え方、子どもたちへの指導方法、保護者との連携・対応術などをさらに吸収するとともに、若手へとつないでいかなければいけない」ということです。残された時間はあとわずかだという危機感のもと、日々を過ごしています。また、職員室での先生方の仕事量から、いかに効率よく、子どもたちの学習効果を上げていけばよいのかを考えます。
そこで今回は、上記のことから、授業で使えるフラッシュカードに特化して、一人でも多くの先生方のお役に立てればと願い、活用術を書いていきます。
1 当たり前と思われていたスキルを次世代へとつないでいく
授業中に出てくる学習キーワードや教科書本文中に出てくる用語、人物名など、基礎的・基本的な知識となる言葉をフラッシュカードにして、繰り返し唱えていき、知識の定着を図っていきます。その際に、当たり前と思われていたフラッシュカードの扱い方がどうも当たり前ではないと思われるようになりました。そこで、どのように子どもたちへフラッシュカードを提示すればよいのか。教師の立ち位置、向き、姿勢、教師の視線、カードのめくり方、カードの持ち方などを〔フラッシュカードの使用上の留意点〕という形で拙著(下記の参考書籍)に詳しく掲載してありますので、ご参照ください。
2 教師の教育技術を持ち駒と考える中での技の1つとしてのとらえ
フラッシュカードを毎日授業中にすればよいというのではなく、あくまでも学習スキルの1つとしてとらえて、活用していくとよいでしょう。隙間の時間や授業の最初、終わりと常に繰り返していくことで、反復練習となり、子どもたちにとっての知識の定着を図ります。あらゆる教育技術の中での1つの方法として知っておいて損はありません。必ず、今後に役立ちます。また、子どもたちへの教育効果も実感できることでしょう。
3 各教科の授業における使用方法
(1)学習効果の向上
国語科で言えば、漢字や言語、百人一首、社会科で言えば、歴史人物名や用語、算数科で言えば、公式や記号など、日々の授業の中で必要となってくる基本的・基礎的な知識を定着させるために、見て唱えてを繰り返します。そうすることによって、学びの流れとなり、やがて定着していきます。
(2)学習効率の向上
「あれ? なんだったっけ?」と思い出すのに時間をかけるよりも、繰り返して唱えていることで、瞬時に思い出すことができます。教科書やノートを再度見返してもよいのでしょうが、記憶として残していくことで、学習効率も上がっていくでしょう。何度も何度も、繰り返し繰り返し、これが基本です。
(3)お手軽かつ再生可能
今回、拙著にはCD-ROMを付けてあり、それをプリントアウトするもよし。パソコンで手を加えてプリントアウトするもよし。ラミネートをすると、何度でも使えます。また、子どもたち同士でも使うことができますので、雨の日には教室で静かに過ごすためのアイテムとして一教室に1セット、いかがでしょうか。子どもたち同士で学び合っている姿が見られるのも、なかなかおもしろい絵になります。
(4)オリジナリティ
CD-ROMに収録されているものを使うのもよいのですが、せっかくですから、その土地、その学校、その学級、先生方が使いやすいフラッシュカードに仕上げていただき、子どもたちの学習に使っていただければ幸いです。また、子どもたちは、オリジナルが大好きです。限定物や、ここにしかないものに、このフラッシュカードを仕上げて、笑顔あふれる楽しい授業にしていっていただけると幸いです。
4 カード例
道徳 『七(なな)みの言葉』
@いやみ Aうらみ Bつらみ Cさげすみ Dそねみ Eねたみ Fやっかみ

■参考書籍

授業や学級経営に活かせるフラッシュカードの作り方・使い方―CD‐ROM付き中條 佳記(著)黎明書房,2016