- 教育オピニオン
- 学級経営
新年度、4月。新任式、始業式が終わり、教室に向かう。
新担任が発表されて、または学級編成で新しいクラスとなって、子どもたちの心は期待と不安でいっぱいである。
教師もまた、新鮮な気持ちで特別な緊張感をもって初日を迎える。
1.初日の1時間で一年が決まる!
始まりの日というのは、殊の外忙しい。
新任式、始業式を終えて学級活動。休み時間をはさんで、諸連絡や教科書など配付物の処理、そして帰りの会、清掃活動で下校。
何とも慌ただしい。タイムスケジュールがしっかり決められていて、あっという間に1日を終える。
したがって、実際に、担任としてクラスの子どもらとじっくり向き合う時間は限られている。正味1時間といったところか。
すると、標題の「初日で一年が決まる!」というのは、もっといえば「初日の1時間で一年が決まる!」と言い換えても過言ではないことになる。
この初日の1時間の内容如何で、楽しく素晴らしい一年になるか否かが決まってくるのである。
2.最初の3日間で組織せよ!
どんな教師であれ、明るく楽しい学級をつくりたい。そして、初日や始まりの3日間が大切だということは、誰しも願っているし、わかっていることである。
しかし、それを教師が改めて意識して、意図的に“黄金の3日間”の過ごし方を十分に吟味して臨まなければ、1年間で素晴らしい学級をつくっていくのは容易なことではないと思ったほうがよい。
粗く言って、私は学級開きの最初の3日は次のことに重点を置く。
〈1日目〉 「出合いの授業」
〈2日目〉 組織づくり
〈3日目〉 授業開きとルールの確認
この3日間で学級を組織することができれば、1年間の学級づくりの半分は成功したといっていい。
初日の子どもたちは、緊張感にあふれている。そして、静かで素直である。
期待感も強くもっている。担任の話に素直に耳を傾け、意欲的に目を輝かせている。この3日間で組織してしまうことは、もはや学級の統率者としての常識と言えよう。
3.「出合いの授業」を仕組む
それでは、話を初日の1時間に戻そう。
この与えられた貴重な時間を、単なる一方的な話で終わるものにしてはならない。「出合いの授業」をきちんと仕組み、知的意欲に満ちた1時間を全員が共有することが大切である。
私が実践してきた「出合いの授業」を成立させる10のポイントを以下に記す。
@事前に一人ひとりの名前を正確に覚え、目と目で結び笑顔で呼ぶ。
Aこれ以上ないという元気いっぱいの明るい挨拶を交わす。
B「出合えて、うれしい」「ありがとう」「どんなことがあっても、先生はみんなの味方である」という言葉を必ず入れる。
Cほめる。できるだけ多くほめる。
D筆記用具をチェックする(赤鉛筆・ミニ定規・とがった鉛筆と消しゴム以外は認めないことを宣言する)。
E鉛筆をきちんと持って姿勢よく、口を閉じて書かせる。
Fプリント配付時は「どうぞ」「ありがとう」を言わせる。
G全員起立で音読させる(姿勢・立ち方・読み方をチェック)。
H指名なし発表をさせてみる。できたら最高にほめる。
I叱る時、許さない時はどんな時か、はっきりと告げる。
この@〜Iの内容を1時間に織り込んで授業をするのである。
これら即ち、学習上のルール・生活上のルール・学級づくりの基礎となるものである。それらを意図的にちりばめながら、目指す『○○なクラス』を子どもとともに頭に描き、集団意識を喚起しながら、心に残る出合いによるスタートを踏み出すのである。
詳しくは、拙HP「一年を決める『出合いの授業』」(授業記録)を参照されたい。