熱中授業づくりのポイント
- ゲーム性のある教材で子どもの意欲を喚起する
- 子どもの考え方のよさを価値付ける
- 考え方のよさを味わわせる
1 ゲーム性のある教材で子どもの意欲を喚起する
「縦・横・斜めの和が15になる魔方陣の隠されたマス目の数を当てる」というゲーム性のある教材で、子どもの意欲を喚起します。
(魔方陣のマス目の数は付箋で隠した状態で黒板に提示します)
9つのマス目に隠れている数を当ててもらいます。
- ヒント1
- マス目には1から9の数が隠れています。
- ヒント2
- (付箋をはがし)真ん中の数は5です。
- ヒント3
- 縦・横・斜めの3つの数をたし合わせると、どこも必ず15になります。
T それでは、隠れている数を当ててみよう。
C えっ、そんなのわかるわけないよ!
T では、もう1つ数を教えます。5の上は1です。このヒントで、どこかわかるところがありますか?
C うん、これなら5の下の数はわかる!
2 子どもの考え方のよさを価値付ける
ここから、「真ん中が5だから、たして15になるには、あと10ができればよい」という気付きを引き出し、子どもとのやりとりを通して、「10をつくる」という考え方のよさを価値付けます。これが、繰り上がりのあるたし算の素地的な知識となります。
T どうやったら5の下のマス目の数は求められるかな?
C 1+5=6だから、15になるために、あといくつかを考えればいい。
C もっといい方法があるよ! 真ん中が5で、たして15になるということは、15は10と5だから、両端をたしたら10になるはず。
C そうか、だったら真ん中の5の上が1だから、下は9になるはず。
T 10+5=15となるように考えたんだね。それはわかりやすい方法だ!
(付箋を子どもにはがさせ、隠れている数が9であることを確認する)
C やったぁ、当たった! やっぱり9だ。
T いまやったことを式にして計算するとどうなりますか?
C
T 先に10をつくり、10と5で15にしたんだね。これは簡単でいいね!
3 考え方のよさを味わわせる
既習の「いくつといくつ」に基づいて10をつくり、他の箇所も「10+5=15」と簡単に計算できることを確認し、「10をつくる」という考え方のよさを味わわせます。
C そうすると、真ん中の5をはさんだ端同士をたすと、どこも10になるはずだよね。
T なるほど。10になる組み合わせってどんなのがあったっけ?
C 2と8。
C 3と7。
C 4と6。
T よし、じゃあ、いくつかはがしてみるよ。みんなの言ってることが正しいなら、反対側の数を当てることができるはずだね。
(2、3、6の部分の付箋をはがす)
C 2と8で10だから、5の左上は8のはず。
C 3と7で10だから、5の右は7のはず。
C 4と6で10だから、5の左下は4のはず。
T じゃあ、全部はがしてみるよ。
C やったぁ、当たった!
T よく当てることができましたね。計算の仕方も確認しておこう。
10をつくると3つの数の計算も簡単だね。
次時には、繰り上がりのあるたし算の導入として、「まわりの部分も、たすと15になるか確かめてみよう」と、真ん中の数5とかかわらない、外周の4辺部分の和について考えます。
大野 桂
1976年東京都生まれ。東京学芸大学卒業。私立高等学校、東京都公立中学校、東京学芸大学附属世田谷小学校を経て、2010年より筑波大学附属小学校教諭。
日本数学教育学会編集部幹事、教育出版教科書『小学算数』編集委員、全国算数授業研究会常任理事、使える授業ベーシック研究会常任理事、『算数授業研究』編集委員。
筑波大学附属小学校算数部ブログ
(構成:矢口)