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公立学校の空調設備の設置状況―学習しやすい環境づくり
教育zine編集部大田和
2019/9/30 掲載

 今月19日、文部科学省より公立学校施設の空調(冷房)施設の設置状況に関する調査結果が発表されました。近年、各地で最高気温が更新されたり、熱中症対策の呼びかけが増えたり、今も9月下旬とは思えない残暑が続いていたり、と暑さに耐えきれない日々が増える中でどのような結果が示されたのか、見ていきたいと思います。

空調(冷房)施設の設置の必要性

 総務省が発表している熱中症情報によれば、2018年5月〜9月に熱中症によって緊急搬送をされた患者数は95,137人で、6月以降は各月とも前年を上回る結果となりました。年齢別に見ると、高齢者(満65歳以上)が最も多いものの、少年(満7歳以上満18歳未満)の患者も全体の1割程度を占めています。これは、7歳以上18歳未満の総人口と比較すると、約1,000人に1人の割合です。
 このような状況もふまえ、文部科学省は2018年度の補正予算として1年限りの「ブロック塀・冷房設備対応臨時特例交付金」を創設しました。その中で、熱中症対策の空調設置に817億円を計上し、全国の公立小・中学校などの教室への空調設置を支援しました。

小中学校の空調(冷房)設備の設置状況

 今回の結果は、「ブロック塀・冷房設備対応臨時特例交付金」の対象となった学校に対して、どの程度設置状況が改善したかが見とれます。公立小中学校の普通教室において、2018年の時点では約半数の都道府県で設置率が40%だったのに対し、2019年になると北海道・東北地方の一部の県を除くほとんどの都府県で設置率が向上して40%以上の設置率となっています。先述の交付金の支給を受けて全国的に冷房設備の設置が進み、とくに人口が多い地域や夏に気温が高くなりやすい気候の地域を中心に設置率が上がり、交付金の効果が現れていることがわかります。
 また、現時点では岡山県など熱中症患者が多い地域で設置率が60%以下の県も見られますが、2019年度末には北海道・青森県・秋田県を除き、全国の小中学校で80%以上の設置率となることが見込まれています。
 なお、これまで見てきた結果は小中学校の普通教室の場合であり、体育館等の設置率は依然として低く、小中学校では全国で約3%しか設置が完了していません。体育館等は、災害時に避難場所として利用されることも多く、今後、猛暑日などにおける避難生活の環境を整える上で空調設備の整備は必要度が高まってくると考えられます。
 
 学校現場において、子どもたちが学習する上での障害を取り除き、学習に集中できる環境を整えることは必須だと思います。そして、その障害のひとつであった「暑さ」に対して対策が講じられ、改善される方向に向かっていることがわかりました。今後、学校が地域社会に貢献する施設としてどこまで環境が整備されていくのか、注目していきたいと思います。

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