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活動費補助で躍進なるか? 都立高校の運動部
kyoikujin
2011/2/15 掲載

 東京都教育委員会では、10日、昨年の大会で好成績を収めた都立高校7校に対して、活動費補助などの支援策を打ち出した。優秀な選手が各地から集まる私立高校に押され気味の都立高校の運動系の部活動だが、今回の支援をきっかけとして躍進なるのだろうか。

野球は圧倒的に私立高校優位

 10日の産経新聞によると、昨年のインターハイ出場校は、団体競技で私立高校59校に対して都立高校は5校にとどまっているという。
 競技別にみてみると、野球では、「全国高等学校野球選手権大会(夏の甲子園)」に平成になってから都立高校が出場したのはわずかに3回(雪谷高校(2003年)、城東高校(1999年、2001年))のみで、この圧倒的な私立高校優位の傾向は戦前から続いている。
 また、この傾向は全国的にもみられ、今春の「選抜高等学校野球大会(春の甲子園)」でも、21世紀枠を除くと公立高校の出場は29校中3校に過ぎない。

サッカーは都立高校の全国大会出場が増加傾向

 一方、野球と並んで男子生徒に人気のあるサッカーにおいても、過去には野球と同様の傾向がみられてきたが、近年その傾向に変化が表れ始めた。年末から新春にかけて行われる「全国高校サッカー選手権大会(選手権)」では今年度、今回の支援対象にもなっている駒場高校が出場を果たしたのをはじめ、2006年(久留米高校)、2007年(三鷹高校)、2009年(東久留米総合高校)にも都立高校が出場を果たしている。全国的にみても、野球に比べてサッカーは公立の出場校が多く、今年度の選手権では出場48校中21校が公立高校だった。
 これは、野球は高校段階での選手育成の場がほぼ100%学校に限られているのに対して、サッカーではJリーグチームの下部組織の整備などで選手育成の場が学校外の地域にも広がってきて、優秀な選手の分散化が進んでいることが一因とみられる。

その他のスポーツはやはり私立高校優位

 今回の支援対象になったその他の競技をみてみると、やはり私立高校優位の状況がうかがえる。
 城東高校が対象となったバスケットボール。男子ではインターハイに私立の京北高校、八王子高校がそれぞれ5年連続、6年連続で出場中で、女子も東京成徳大学高校の17年連続を筆頭に、今年度の出場3校はいずれも私立高校だった。
 富士高校が対象となった剣道では、個人戦において、過去5年間に都立高校所属の選手は男女とも一人もインターハイに出場していない。団体戦も同様で、今年度の東京都予選において都立高校でベスト16に入ったのは、男子2校、女子4校のみだった。
 今回の支援がきっかけとなり、これらのスポーツでも、全国大会出場などの好成績を残す都立高校が現れるかが注目される。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
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