きょういくじん会議
まじめなニュースからやわらかネタまで、教育のことならなんでも取り上げる読者参加型サイト
タイガーマスク必見!? 小学校入学準備の「三種の神器」
kyoikujin
2011/1/17 掲載
子どもの安全ハンドブック

 年も明け、テレビではランドセルなどの小学校入学準備品のCMが流れる季節になった。また、ニュースでは「タイガーマスク」を称して児童養護施設・団体にランドセルなどを寄贈するという事例が全国で相次いでおり、世間を騒がしている。
 モノがあふれる豊かな現代において、小学校入学準備の「三種の神器」としてどのようなものが挙げられているか、皆さんはご存じだろうか?

 小学館が、今年4月に小学1年生になる子どもの母親500人を対象に実施した、「小学校入学を控えての準備品に関する母親の意識調査(PDF)」の結果では、ランドセル、学習机、防犯グッズの3つが入学準備品の上位「三種の神器」になっており、防犯ブザーやGPS機能などの高機能防犯グッズへの関心が高まっていることが明らかになった。

 小学館によると、1998年に行われた同類の調査の結果は、1位「ランドセル」、2位「靴」、3位「洋服」で、防犯関連グッズはランク外となっている。平成22年5月に警視庁が公表した「平成21年の犯罪情勢(PDF)」によれば、子どもを巻きこんだ犯罪が特に増えているというわけではないが、子どもを狙った犯罪に対するマスコミ報道の多さや、学校・地域・保護者の意識が高まったために、このような結果につながったと考えられる。

防犯ブザーの高機能化

 最近の防犯ブザーの特徴として、大きな音が鳴るというブザーとしての最低限の機能はもちろんのこと、子どもの居場所を特定できるGPS機能が備え付けられていたり、警備員が現場に急行するサービスがあったりするなど、高機能化していることがあげられる。
 また、それ以外の機能として、下校時間が遅くなったときのために懐中電灯の機能がついていたり、ブザーを鳴らすと動画が撮影できるビデオカメラがついていたりと、至れり尽くせりだ。子どもが普段ランドセルなどにつけて持ち歩くことを考え、キャラクターなどを用いたデザインも人気のようである。
 さらに、ランドセルに目立つように防犯ブザーをつけておいたり、「防犯ブザー携帯中」と書かれたステッカーを貼っておくなど、単に防犯グッズを身につけるだけでなく、不審者が子どもに近づきにくくする工夫もさまざまだ。

行政の取り組み

 このように、防犯グッズの需要が高まっているが、防犯ブザーを保護者に任意で購入させるのではなく、すべての児童・生徒に無料配布(もしくは貸与)している自治体も多い。
 品川区では、平成17年から区独自の防犯システム「近隣セキュリティシステム」を構築しており、子どもが「まもるっち」というGPS機能付き防犯ブザーを携帯して登下校している。 この「まもるっち」は、区内の小学生に無料で貸与されている。
 「まもるっち」は、子どもが身の危険を感じたときに発報ピンを引くと、大きな音とともに、ブザーに登録された子どもの情報(学年、性別)と発報した位置の地図が、区役所内のセンターシステムや事前に登録した協力員の電話または携帯電話に流れるようになっている。情報を受け取った協力員が現地に駆けつけ、子どもを事件から守ろうというシステムである。

地域全体で子どもを守る取り組みへ

 品川区のように、ITを駆使して防犯に取り組んでいる例は多くはないが、地域住民の協力を得て、児童・生徒の登下校中のパトロールを実施している地域は多い。防犯グッズなどを子どもに身につけさせるだけでなく、地域全体で子どもをみるという意識があるということほど、親にとって心強いことはないのではないだろうか。
 子どもが犠牲になる事件は後を絶たないが、不安ばかりを募らせたり、事件が起こってから後悔するのではなく、地域と手を取り合い、できる対策をきちんとしておくことが大切であろう。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
コメントの受付は終了しました。