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めざせ普門館! 全日本吹奏楽コンクール
kyoikujin
2010/11/10 掲載
ベストヒット普門館 ブラバン人気曲ライブ&オリジナル

 「普門館」といって思い浮かぶのは… 学校関係者であれば「吹奏楽の甲子園」というイメージがダントツだろうか。普門館は、全日本吹奏楽コンクール開催地として定着し、全国の吹奏楽部員たちがめざすあこがれの場となっているのだ。

 先月30日に第58回日本吹奏楽コンクール中学校の部が、31日に同高校の部が開催された。まずはどのような流れでコンクールが進むのかみてみよう。

 全国大会に出場できるのは、全日本吹奏楽連盟の11の各支部から推薦された学校。今年は全国から中学・高校それぞれ29校が集まったが、支部ごとに予選を設けているところが多く、出場までの道のりは長い。

 たとえば今年の東京都中学校の場合。

7月28、29日、8月3〜8日 東京都中学校吹奏楽コンクール           94団体がA組(メンバー50名以内)に出場。そのうち14団体が東京都吹奏楽コンクールへ出場の推薦を受けた
9月12日 東京都吹奏楽コンクール                出場の14団体中、4校が金賞に選ばれ、そのうちの2校が全日本吹奏楽コンクールに出場の推薦を受けた
10月30日 全日本吹奏楽コンクール                全国の各支部から推薦を受けた29校が出場し、8校が金賞に選ばれた

 みな、全国大会が行われる普門館への出場とその中での金賞をめざして、日々練習に励んでいるわけだ。

 それでは、ここでコンクールにまつわるネタをいくつか。

●なぜ「普門館」?
 「普門館」は、立正佼成会という仏教団体が運営するホール。1970年、文化活動のために広く使うことを目的に東京都杉並区に建てられたが、実は音楽専用ホールに比べると音響的にベストな施設ではないようだ。ただ、5000人という収容人数の多さや、「普門館イコール吹奏楽コンクール」という認識の定着もあり、1972年に初めて第20回全日本吹奏楽コンクールが行われて以来、数回のブランクはあるものの、最近では普門館での開催が通例となっている。

●「黒い床」は出場者の味方?
 普門館の舞台の床は、リノリウムという建材でできている。舞台の床としてはめずらしく黒一色となっており、これは、「舞台で顔が映えるため」と言われているようだ。2007年には床と同じ素材の黒いリノリウムの断片が記念品として出場者や来場者に配られている。

●金賞は1つじゃない?
 審査は「技術」と「表現」の2項目で評価され、全国大会に出場した学校すべてが、金・銀・銅の何れかを受賞する。金賞は1校に限られておらず、審査内規によると、めやすは金:銀:銅の比率が3:4:3とのこと。ちなみに今年出場の29校の内訳は、金:銀:銅=8:11:10という結果だった。

●実力があるのに出場できない?
 全日本吹奏楽コンクールに3年連続出場すると、翌年は予選をはじめコンクールへ参加できない通称「三出制度」という大会規定があるようだ。連盟のホームページにその旨明記されていないのだが、コンクールの結果速報では、「3年連続出場のため昨年は参加できなかった」というような記事を時々見かける。「より多くの学校が全国大会に出場できる機会をえられるように」という連盟側の意図とも言われているが、参加できない年にあたってしまった生徒にとっては残念な気もする…。

 テレビ番組で取り上げられて以来、吹奏楽コンクールへの関心も一気に高まった。特定の学校を長期取材した受賞までの道のりなどもテレビで目にするが、大会のあった先月末から今月頭にかけて報道されたコンクールにまつわる速報を見ると、参加したどの学校にも様々なドラマがあったことがわかる。
 目標に向かい一丸となってみんなで一つの音楽をつくり上げる中では、それぞれにドラマチックなストーリーがありそうだ。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
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