- きょういくじん会議

22日の読売新聞の記事によると、横浜市教育委員会は、理不尽な要求を繰り返す保護者に対して学校が組織的に対応するための手引書を作り、全市立校に配布したそうです。このような取り組みはまだ全国的にも珍しいとのことですが、世代交代により若い教員が増えつつある学校現場で、保護者からのクレームに対してこれからどのような対応が必要になってくるのでしょうか?
求められる「組織的」対応
冒頭の横浜市教育委員会の事例でポイントになるのは、「保護者からの要望・クレームの情報を複数の教員で共有すること」にあるようです。裏を返せば、これまではクレームを受けた教員が一人で悩みながら対応し、円満に解決できるかどうかはその教員の力量にかかっている部分が大きかったということでしょうか。特に経験の少ない教員の場合、自分より年上の保護者に強い口調で迫られて、思わず要求に応じてしまう、という場面はあるように思われます。
先生同士の関係も希薄になりつつあると言われる今の学校で、後々さらに大きなトラブルにならないように、何より冷静に子どもにとってよいと思われる選択ができるように、複数の目で事案を検討し、学校や自治体で情報を共有していく必要がありそうです。
発想の転換を取り入れた学校
保護者からのクレームの情報共有に、学校独自で取り組んでいるところもあるようです。20日の読売新聞の記事によると、東京都東村山市立大岱(おんた)小学校では、保護者からのクレームを模造紙に書いて職員室に掲示し、教員全員が情報を共有できる体制をとっているということです。独自の漢字検定、きれいなノートを表彰する大会などの学校行事も、もともとは保護者のクレームから生まれたものだとのこと。それが苦情であろうとも、人からもらった意見を前向きに受け止めて具体的に改善を検討していく姿勢は、学校現場に限らず、私個人の生活を振り返ってみても学ぶべきことのように感じました。
極端な例は除いては、クレームを出す保護者も学校も、「子どものために」という思いは共通なはず。どこまでお互いの意見を取り入れ、子どもにとって最良だと思われる選択ができるか、きっと双方が状況と相手の考え方を理解して歩み寄る努力が必要なのでしょうね。教員にとっては校内で、もしくは自治体内で過去にあったトラブルから学び、事前にそれをどのように自身の学級経営や学校の施策に生かしていくかを考えることも必要になってくるのかもしれません。