きょういくじん会議
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教員の心の病、過去最多に―進む自治体の支援策
kyoikujin
2010/1/14 掲載
教師の悩みとメンタルヘルス

 教職員の心の病が増えつつある―皆さんもこのニュースは耳にしたことがあるのではないでしょうか。
 12月25日の産経新聞の記事では、平成20年度に学校を休職した教職員数と、そのうち精神疾患を理由とした教職員数がともに過去最高となったと報じられています。このような状況を受け、今、多くの自治体では先生たちの心の病に対応すべく対策を講じようとしているようです。

 12日の朝日新聞の記事によると、平成20年度にうつ病や適応障害などの精神疾患で休職した先生は5400人。16年連続で増加し続けているこの事態を各自治体は重く受け止め、メンタルヘルス対策や復職支援を進めているとのことです。

医師やPTAも連携(大分県)
 大分県教育委員会は従来から行っていた医師やカウンセラーによるメンタルヘルス相談に加えて、昨年12月に、精神科医、PTA関係者、現場で精神疾患による休職者と向き合った経験のある教職員による「学校職員のメンタルヘルス対策検討委員会」を立ち上げ、現場の実態に応じた対策に取り組むための協議を始めたそうです。これからは学校現場やカウンセラーに任せるのではなく、保護者や地域住民などもこのような実態を理解し、対策を考えていく必要があるのかもしれません。

職場リハビリ制度(神奈川県)
 神奈川県では2004年から、教職員の円滑な職場復帰を目的として職場リハビリ制度を導入しており、昨年は教員に復職した先生の半分以上がこの制度を利用しての復帰だったとのことで、徐々に効果を発揮しているようです。

 こういった相談窓口の設置や職場復帰の支援の取り組みは実に9割以上の自治体が実施しているそうですが、意外と現場の先生方には知られていない、というのが実情のようです。支援策の充実もそうですが、教職員の精神疾患の早期発見のために、こういった制度の周知を図っていくことも今後の課題のようですね。

 なぜ今教職員の心の病が増えているのでしょうか? 生徒指導や学習内容の変化に対応できない、多忙によるストレス、 多様化する保護者や地域の期待・要望への対応が困難などが主な要因ではないかと言われていますが、教員同士の人間関係が希薄になり、気軽に相談できる相手がいないことも要因の1つとして指摘されています。
 最近は教職員のわいせつ行為などによる懲戒解雇のニュースも多く、ストレスを歪んだ形で解消するしかないのかと思うと悲しい思いがしますね。このように苦しい思いをする先生を増やさないためにも、子どもたちが安定した教育を受けられるようにするためにも、早急に取り組むべき問題であると感じます。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
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