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2009ノーベル賞授与者発表―クラスに未来の受賞者を!?
kyoikujin
2009/10/9 掲載
ノーベル賞その栄光と真実 - 科学における受賞者はいかにして決められたか

 5日、ノーベル生理学・医学賞が発表されたのをはじまりに、6日に物理学賞、7日に化学賞、8日に文学賞、9日に平和賞、12日に経済学賞の授与者が発表されている。
 今日のところ、自然科学分野の発表は終わり、残念ながら日本人受賞者はいなかった。

生理学・医学賞

 生理学・医学賞は、染色体の先端にある「テロメア」と「テロメア」を作る酵素によって染色体と細胞が老化から守られる仕組みを発見したことにより、女性2人を含む3氏の受賞が決まった。
 「テロメア」は人間の染色体にもあるもので、この仕組みの発見により、人の老化現象の解明がすすむと期待されている。また、異常細胞が増殖することで起こるがんの治療にも役立つのではないかと考えられている。

物理学賞

 物理学賞は、光通信技術やCCD(=電荷結合素子)を発明したことにより中国系のチャールズ・カオ博士含む3氏の受賞が決まった。
 高速大容量の通信を支える光ファイバーや、デジタルカメラをはじめ幅広い分野でなじみのあるCCDは、まさに実用的な発明で、今日の情報社会の基礎を作ったと言われている。

化学賞

 化学賞では、「リボソーム」という細胞の中でたんぱく質を合成する器官の機能と構造を解明したとして英・米・イスラエルの3氏の受賞が決まった。

 今回の生理学・医学賞にある「テロメア」の解明が、人の老化現象を解き明かすのではないかと期待されるように、科学の進歩は、科学者の研究の積み重ねによって作られていく。
 中学校新学習指導要領の理科では「生命の連続性」についてメンデルの「優性の法則」「分離の法則」、遺伝子の本体がDNAであることなどが新しく付加されているが、これら内容はメンデルが報告した1865年当時、トップレベルの科学であったはずの内容だ。
 歴史の中で科学が進み、現在トップレベルの科学は細胞内の「テロメア」や「リボソーム」を研究し、メンデルの法則は中学校で学ぶことができる。

 理科を学ぶことは科学者たちの努力の結晶を学ぶようなもので、その学びは次の科学の進歩へとつながる。
 2009年ノーベル賞で自然科学系での日本人受賞者はなく、学校では「理科離れ」についても懸念もされる今日ではあるが、理科の学びが科学の進歩につながることを胸に、今、教室で学ぶ子どもたちの中で理科を好きになり、将来ノーベル賞受賞者となる者が出ることを願ってみたい。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
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