- きょういくじん会議

7月13日に成立した改正臓器移植法。来年の7月から施行される同法は、生命倫理の問題とも関連して、ニュースにもなり、国会審議の中でも大きな話題になった。この臓器移植に関する問題を授業で取り上げ、命について学んでいる学校があるという。
臓器提供について学ぶ出前授業
7月28日の読売新聞によると、中学校などで臓器提供について授業で取り上げる学校が増えているという。
例えば、新潟県上越市立頸城中学校では、臓器移植推進財団の秋山政人さんを講師に迎え、出前授業を行ったそうだ。出前授業では、脳死とはどういった状態かというのをパソコンを使って説明したり、臓器提供意思表示カードを提示して説明したりしたという。実物の臓器提供意思表示カードを見たり、脳死についてわかりやすく学ぶ機会は、子どもにとってあまり多くはなさそう。こういった出前授業は、興味関心をもつきっかけになりそうだ。
保健・社会・道徳授業で臓器提供について学ぶ
出前授業以外でも、授業で臓器提供について取り入れている学校がある。例えば、読売新聞の記事でも取り上げられているトキワ松学園中学・高校での実践。トキワ松学園中学・高校では、高校2年生が3か月間臓器移植について学んでいるという。生徒には、家族ともこの問題について話し合うよう指導を行うそう。臓器提供は、自分自身だけの問題ではなく、家族の問題ともいえるだろう。授業をきっかけに、家族で話し合うことは意義があることといえそうだ。
そのほかにも、お茶の水大学附属中学校で「脳死・臓器移植」について社会科と保健科で取り組んだ実践もある。この実践は、テレビで放映された臓器移植に関するビデオを見て討論や意見交流をするといったもの。「命が大切」といったことだけにとどまらず、仲間との意見交換をしながら思考が深まった授業だったようだ。
また、道徳授業で「臓器移植」を取り扱った実践も多い。道徳授業の実践では、中学校だけでなく、小学校高学年での実践もある。その内容は、臓器移植に関する問題を資料にして、生命尊重について考えるというものが多いようだ。
漫画でも学べる

漫画でも移植を学べる。単行本の累計発行部数が1000万部を超える人気漫画「ブラックジャックによろしく」(佐藤秀峰作)だ。「ブラックジャックによろしく」は、主人公の研修医が大学病院でさまざまな医療の現実と衝突しながら成長していく姿を描いたもの。主人公の成長だけでなく、現在の医療の問題を扱っており、学ぶべきことが多い。ちなみに、現在は「移植編」がビッグコミックスピリッツ誌上で連載中。脳死による臓器移植だけではなく、移植の問題全体を扱っていて、興味深い。
臓器移植の問題は、生死を扱うので、授業にうまく取り入れることは難しいかもしれない。ただ、改正臓器移植法が施行されれば、15歳未満の子どもも家族の同意があれば臓器提供ができるようになる。いろいろな角度から、子どもも大人も一緒になって、考える機会をもつことは、今後ますます重要になってくるだろう。