著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
毎日行う掃除&給食だからこそ、重要!
長崎県川棚町立川棚小学校教諭辻川 和彦
2019/2/28 掲載
今回は辻川和彦先生に、新刊『掃除指導 完ペキマニュアル』『給食指導 完ペキマニュアル』について伺いました。

辻川 和彦つじかわ かずひこ

1968年長崎県生まれ。島根大学教育学部卒業。1995年から教職に就く。現在,長崎県内の小学校に勤務。「佐世保教育サークル」に所属。「道徳のチカラ」の機関誌『道徳のチカラ』編集長。

―本書は、掃除指導・給食指導に特化した書籍です。先生はまえがきの中で、毎日、当たり前のように繰り返されているからこそ、大切にしなければならない旨のお話を書かれています。掃除指導や給食指導は、なぜ大切かあらためて教えてください。

 教科指導に比べて優先順位が低くなりがちな掃除指導や給食指導ですが、単に掃除の仕方や給食の配膳の仕方を教えるだけではありません。将来の子どもの勤労観につながる、キャリア教育でもあるのです。塵も積もれば山となる。年間約190日もある掃除や給食を、教師が意図的に指導するか惰性で行うかで、子どもの成長は大きく変わってきます。ですから、毎日の掃除指導や給食指導は、非常に大切なことなのです。

―掃除や給食は、新学期にシステムを構築することが多いと思います。システムを構築する際に大切なポイントを教えてください。

 システムには「なぜ、そうするのか」という教師の哲学が現れます。公平性を優先するのか、子どもの意欲を優先するのか。1つの担当をじっくりさせるのか、短期間で多くの担当をさせるのか。どちらが正解というのではなく、教師が意図をもってシステムを構築することが大切です。それから、係や期間だけでなく、なぜ掃除をするのか、なぜ「いただきます」をするのか、といった心構えを教えることも大切ですね。

―『掃除指導 完ペキマニュアル』では、中だるみのアイデアもご紹介をいただいております。毎日の活動だと、慣れてきて中だるみも出てくると思います。先生は、どのように指導されていますか。

 とにかく、ちゃんとやっている子をほめます。ほめることが難しそうな子どもには、こちらから仕掛けます。前もって声かけをしておいたり、やり方が間違っていたら正しいやり方を教えたりします。そして、ちゃんとできた時に「掃き方がうまくなったね」「あなたが拭いたあとの床はきれいだね」…と声をかけると、嬉しそうにしています。それを聞いた周りの子もちゃんとしようとするので、一石二鳥です。

―『給食指導 完ペキマニュアル』では、食物アレルギー等への対応についてもご紹介いただいております。学級担任が押さえておくべき、知識や対応について教えてください。

 まずは自分の学級にいる食物アレルギーのある子どものアレルゲン物質や、もしもの時にどうするかを知っておくことです。問題は、いかに「うっかり」をなくすか、です。毎日のことですから、普段ならきちんとチェックをするでしょう。しかし、他の子どもたちにトラブルがあったり、出張や学校行事だったりといった「普段通りではない時」に注意が必要です。事故が起きないようにあらかじめ手を打っておくことが大切です。

―最後に、本書を読んで、次年度の掃除指導や給食指導に生かしていこう!という読者の方にメッセージをお願いします。

 学力向上や道徳科が話題の今、「掃除」や「給食」をテーマにした本書を手に取っていただきありがとうございます。本書は「マニュアル」と銘打っていますが、絶対こうしなければならないというものではありません。なにせ、掃除でいえば、校舎のつくりも違えば掃除道具も違います。給食でいえば、センター方式や自校方式などの違いもあります。本書を参考にしながら、ご自分の学校・地域に合ったやり方で楽しい掃除指導・給食指導に取り組んでいただければ幸いです。

(構成:茅野)
コメントの受付は終了しました。