著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
学級経営の「始まり」から「終わり」までしっかりサポートする画期的な1冊!
上越教育大学教職大学院教授赤坂 真二
2018/2/9 掲載

赤坂 真二あかさか しんじ

1965年新潟県生まれ。上越教育大学教職大学院教授。学校心理士。「現場の教師を元気にしたい」と願い、研修や講演を実施して全国行脚。19年間の小学校勤務では、アドラー心理学的アプローチの学級経営に取り組み、子どものやる気と自信を高める学級づくりについて実践と研究を進めてきた。2008年4月から現所属。

―「クラスを最高の雰囲気にする!」シリーズ4冊目となる本書では、「学級開き&学級じまい」で使える50の活動が紹介されています。「学級開き」「学級じまい」において目指すべき「雰囲気」とはどのようなものか、教えてください。

 皆さんは、一日の始まりと終わりをどんな気分で迎えたいですか。心配事があると前向きにならないし、夜なら尚更ですね。私たちがやる気になるのは,安心するときなのです。一日の初めと終わりに大切なのは安心感です。それが一日のそして明日への活力を生むからです。同じように、一年の初めと終わりにも大切なのは安心感です。安心に始まり、安心に終わる。そんな始まりと終わりが、その間の時間そしてそれからの時間の活力を生み出します。

―「学級開き」「学級じまい」にもアクティビティを取り入れることで、どのような効果があるのでしょう?

 会話のきっかけを掴むときに、ジャンケンをしてみると場が和みます。ただ、それはジャンケンそのものといよりもその後に起こるコミュニケーションの力です。ジャンケンはつながるきっかけです。人は相手がわからないときに不安になります。しかし、言葉を交わしてみると少し安心します。アクティビティはコミュニケーションのきっかけです。アクティビティをすることで、コミュニケーションを始める意欲が湧きます。

―今回は、アクティビティを「学年別」「時期別」に紹介されています。子どもの発達段階や時期に合った活動にするために、どのような点に注意すべきですか?

 先ほど、アクティビティはコミュニケーションのきっかけだと申し上げました。しかし、コミュニケーションを起こすには,発達段階によって体を動かした方がいい場合と会話を中心にかかわった方がいい場合などがあります。また、子ども同士の関係性の育ち具合によって、自己開示レベルを調整する必要もあります。子どもたちの実態をよく見てアクティビティを選ぶことが大切です。最初は、体を動かすなら「誰でもできる」レベル、また、おしゃべりを中心にするなら「当たり障りのない話題」から始めるのがいいでしょう。

―本書では、アクティビティの進め方や雰囲気づくりのポイントのほか、実施にまつわるエピソードも収録されています。こちらはどのように活用できるでしょうか?

 アクティビティの説明をするときには、教師側の指導イメージが大事です。活動内容がうまく伝わっていないと思わぬトラブルになり、せっかくの楽しい時間が台無しです。そのアクティビティを実施すると、どんなことが起こるのかをエピソードを通じてある程度イメージするといいでしょう。また、それぞれのアクティビティが実践をくぐった証でもあります。ちゃんと効果があるものであることの品質保障です。

―最後に、読者の先生方にメッセージをお願いします。

 物事を始めるときにはゴールイメージが大事です。学級開きなど、どう始めるかについて書かれた書籍は多数ありますが、本書は、終わり方までも示した画期的なつくりになっています。小学校から中学校までの学級開き、学級じまい、そして、入学から卒業まで、至れり尽くせりの実践が紹介されています。多くの先生方に活用していただきたいです。

(構成:木山)
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