著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
目の前の子どもに応じた算数授業づくりこそが子どもの思考をアクティブに変える!
京都教育大学附属桃山小学校教諭樋口 万太郎
2017/6/5 掲載

樋口 万太郎ひぐち まんたろう

1983年大阪府生まれ。大阪府公立小学校、大阪教育大学附属池田小学校を経て、2016年より京都教育大学附属桃山小学校教諭。「子どもが楽しむ・教師も楽しむ」「子どもに力がつくならなんでもいい!」をモットーに日々の算数授業を行っている。『「THE 教師力」シリーズ THE 算数・数学科授業開きネタ集 『ゼロから学べる小学校算数科授業づくり』(明治図書出版)『できる! 楽しい! アクティブ・ラーニング型算数授業』『算数授業で学級づくりーつながる学習でクラスが変わる!ー』(東洋館出版社)など執筆多数。

―「クラス全員をアクティブ」にと本書では謳っていますが、先生ご自身が「クラス全員をアクティブ」にするために気を付けていることはありますか?

 「目の前の子どもに応じた授業づくりをしよう!」ということです。
 クラスには、算数が好きな子・算数が嫌いな子だけでなく、身体的事情、家庭の問題、学力の問題などから、発表が得意な子・苦手な子、集中して取り組める子・取り組めない子・運動が得意な子・苦手な子、友だち関係が上手くいっている子・上手くいっていない子など、様々な子がいます。そういった子たち全員がアクティブになるためには、目の前の子に応じた授業をしないといけません。これはとても難しいことです。だからこそ、「現在の授業に満足せずに授業をより改善していこう」「子どもたち、一人一人の実態を受け入れよう」ということに気をつけています。

―新学習指導要領で重視される「主体的・対話的で深い学び(いわゆるアクティブ・ラーニング)」の実現を目指す中で、どんなことから始めたらいいでしょうか。

 「目の前の子どもに応じて教科書の問題をアレンジ」することから始めましょう。
 私は以前、子どもたちが盛り上がる教材、いわゆるネタをかき集めている時期がありました。そういった教材をすると、子どもたちはアクティブになりました。でも、1年間ネタだけで授業を行うことは不可能でした。ネタを使わない授業のときは、なかなかアクティブにならず……。そこでたどり着いたのが、「目の前の子どもに応じて教科書の問題をアレンジ」するということです。教科書の問題をアレンジすると、授業展開や単元計画をもアレンジする必要性が出てきます。本書ではそういったアレンジの仕方を14のステップでまとめました。ご覧ください。

―実践編では、実際の教科書教材を用いて授業展開の解説をいただきました。授業展開の“しかけ”づくりで、先生が特に工夫されていることはなんでしょうか。

 「リストラとは『リストラクチャー』の略で、その意味は『解雇』ではなく『再構築』」といった雑学を聞いたとき、思わず人に話したくなりませんか? 「この教材、とても面白い! 明日授業で使ってみたい!」といった経験ってありませんか?そういった感覚です。
 私は、「しかけ」づくりをするとき、「大人が面白いことは、子どもも面白い」「大人が面白くないことは、子どもも面白くない」ということを大切に考えています。考えるときは、「こうしたら子どもはこう反応するかな〜」とニヤニヤしながら考えています(笑)

―Chapter3では、よくある算数授業の“お悩み”についてQ&A形式でお答えくださっていますね。これらは実際に樋口先生が困ったことですか?

 私は20代の頃は、オラオラ系で天狗になっている教師でした(笑) 前年度あまりうまくいっていなかった学級を受け持つことが多く……。そんな学級を立て直すことや校内で重要な役割が増えていく中で、「自分はすごい教師なんだ」「自分の言うことを聞いておけばいい」と思っていました。Chapter3で出てくる悩みは、どれも実際に困ったことでしたが、なんせ天狗でオラオラ系でしたので「できない子どもたちが悪い」と思っていたくらいです(笑) そんなとき、本書でも紹介していますが、良き先輩に出会い叱られたこと、そして子どもたちから教わってきたことなどこれまでの経験からいきついた私なりの答えです。

―最後に、「クラス全員がアクティブに思考する算数教室をつくりたい!」と考える読者の先生方に向けてメッセージをお願いします!

 本書は、算数授業で子どもだけでなく「教師の笑顔」が今以上に増えることを願って、まとめました。新年度が始まり早2ヶ月。算数授業で「笑顔」は溢れているでしょうか。私も日々笑顔が溢れるように取り組んでいます。そのために本書がお役に立てれば幸いです。共に頑張りましょう。

(構成:林)

コメントの受付は終了しました。