著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
学級づくりの成功は「雰囲気」づくりから!
上越教育大学教職大学院准教授赤坂 真二
2015/2/6 掲載
 今回は赤坂真二先生に、新刊『クラスを最高の雰囲気にする!目的別学級ゲーム&ワーク50』について伺いました。

赤坂 真二あかさか しんじ

1965年新潟県生まれ。上越教育大学教職大学院准教授。学校心理士。「現場の教師を元気にしたい」と願い、年間約100回の講演を実施して全国行脚。19年間の小学校勤務では、アドラー心理学的アプローチの学級経営に取り組み、子どものやる気と自信を高める学級づくりについて実証的な研究を進めてきた。2008年4月から、より多くの子どもたちがやる気と元気を持てるようにと、情熱と意欲あふれる教員を育てるために現職に就任する。主な著書に『スペシャリスト直伝!学級を最高のチームにする極意』『スペシャリスト直伝!学級づくり成功の極意』『赤坂真二―エピソードで語る教師力の極意』(以上、明治図書)などがある。

―本書では、学級の「雰囲気」づくりをテーマにしています。今回、「雰囲気」を大きく取り上げた理由は何でしょうか?

 それぞれの学級には、その学級特有の雰囲気があります。この雰囲気が、学級集団に多大なる影響力を持っていることを多くの先生方が知っておられます。「雰囲気を制する教師は、集団づくりを制す」と言ってもいいのです。「制す」というと、なんだか支配的で、あまり好ましくないかもしれませんが、雰囲気の持つ影響力を表現するには適切な言葉ではないかなと思っています。雰囲気が大事だと言われながら、その曖昧さからか、正面から向き合った書籍がこれまでつくられてこなかったからです。

―学級づくりに必要な「雰囲気」とは、どういうものでしょうか?

 学級は、ご存知の通り、子どもたちの成長の場です。成長は、子どもたちのチャンレンジによってもたらされます。そのチャレンジの原動力は、やる気です。したがって、学級づくりにおける望ましい雰囲気とは、安心感に基づくやる気を引き出す雰囲気であり、他者と適切にかわる行為を促す雰囲気であり、その適切な関わりのなかで、学習や生活の課題を解決していくことが実現できる雰囲気だとまとめることができます。

―本書では、最高の「雰囲気」を作るためのゲームやワークが、数多く紹介されています。読者の方には、本書をどのように使ってもらいたいと考えていますか?

 本書は、学級の成長段階に合わせて5つの雰囲気を設定しています。学級開きから本書を活用される場合は、スタートの「安心の雰囲気」づくりの活動から取り組んでいただければと思います。また、途中から活用される場合は、学級の雰囲気を見取っていただき、子どもたちの実態に合った必要な雰囲気を育てる活動を実践していただければと思います。
 また、実施する時間枠ですが、一単位時間をとっても結構ですし、朝の会や授業の最初のアイスブレイクとして活用していただいても結構です。多様な活用の仕方ができるでしょう。

―ゲーム&ワークを「雰囲気」づくりに有効に活用するときに、大切なポイントは何ですか?

 本書に示された活動は、それぞれの執筆者が子どもたちに実践してみて効果的だと判断したものばかりです。しかし、それをやるだけで雰囲気が育つ魔法のような活動集ではありません。うまくいくには全て理由があります。偶然で成功することはほとんどありません。まずは、それぞれの活動の目的を理解することです。そして、活動を通じて子どもたちと笑ったり、喜んだり、おしゃべりしたりたっぷりとコミュニケーションをするように心がけて下さい。教師と子どもの豊かなコミュニケーションという土壌に、それぞれの活動という種をまいて、子どもと楽しんで育て、最終的にねらう雰囲気を収穫して下さい。子どもたちと楽しむという感情的な交流の基盤には、先生方のねらいを達成しようとするタフな姿勢が必要です。
 

―最後に、読者の先生方にメッセージをお願いします。

 本書の執筆者たちは、それぞれが学級集団づくりに真剣に取り組み、子どもたちに愛情たっぷりと注いでいる実力者たちです。本書は、彼らの総力を結集した活動集です。必ずやみなさんの学級集団づくりに貢献することでしょう。
 やる気に溢れる学級集団を育て、子どもたち一人一人の笑顔を引き出すために、どうぞ本書をご活用下さい。

(構成:松川)
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